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秘密
第7章 剥がれた仮面
1週間が過ぎた。

沙織は咲子の前ではいつもと変わりなく振る舞い、2階では夫を避け続けた。

隣の部屋で眠り、夫がいない時に夫婦の部屋を片付ける。必要な着替えを持ち出し、いつもの生活を続けた。

普段から夫の帰宅が遅い生活だったお陰で、お互いになんの支障もなかった。

あの微笑みで見つめられ、情けない言い訳をされると虫酸が走るのはわかっていたし、それを口汚く罵る事は避けたかった。


咲子が楽しみにしている旅行の日までは、平穏を保ちたい。


帰宅した慎一郎は毎晩沙織の部屋を覗き、背を向けたままの妻を確かめては静かにドアを閉じた。
沙織はその度に背中を緊張させ、閉じられた気配にほっとして、浅い眠りについた。

行動の1つ1つが腹立たしい。

それでもそれは続いた。




「いってらっしゃい、あなた」

「いってきます。
今日も遅くなると思う」

「慎一郎、風邪ひかないように気をつけてちょうだい」

「そうだね、気をつけるよ」



今夜もどこかへ寄ってから帰宅?


軽蔑の眼差しに言葉はいらず、作った笑顔で送り出す。


私、あなたみたいに笑ってるわ…

わかるでしょう?



心で唾を吐き続けた。





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