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秘密
第7章 剥がれた仮面
気のせいか、咲子はいつもより生き生きとしていた。

時間を作って買い物に出掛け、デパートの紙袋を手に帰宅する。


「お義母さん、なんだか最近楽しそうですね」

「そう?」

「遠足前の子供みたい」

「まあ、ごめんなさい。…みっともないわね」


我に返ったように俯いて黙り込む咲子が可愛らしい。


「松野さんと、気が合うんですね」

「そうね、…長い付き合いになるわ」


庭を眺める義母の背中がため息をついた。

白いゼラニウム、マリーゴールド、コスモス、バラ……花ばなの美しい色が義母の庭を飾る。


「松野さんもお花が好きなんですか?」

「えっ?」

「ほら、松野さんと一緒に出掛けると、よく花の苗を買って帰るから…」

「あぁ…、無理やり付き合ってもらってるの。
うふふ…あの人、お花には興味ないのよ」

「まあ…、ふふっ…
でも、いつもお義母さんは愚痴の聞き役なんですから、それ位付き合ってもらわないと」

「そういうコト」

「一度お会いしたいです」


振り向いて沙織を見つめ、笑顔で視線を庭にもどす。

憂いを含んだ目元に、なぜか胸が痛んだ。


義母も母のように、人知れず恋をしたのだろうか


どこからか金木犀の甘い香りが漂ってきた。





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