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秘密
第7章 剥がれた仮面
重くだるい日々に、沙織は食欲が落ちていた。

それでも職場では純子や杏奈の明るさに助けられ、気持ちが上を向く。


「なんだか純子さん、旦那様とラブラブらしいですよ」

「えっ…そうなの?」

「ま、純子さんも気が付いたんですよ、家族が一番って…」

「………」

「それに、ほら」


杏奈が顎でキッチンの方を指す。


「2人して新メニューの開発中みたいですよ…」


沙織がキッチンを覗くと、店長とオーナーの道子が皿の前で新作の盛り付けをあれこれ試していた。


「オーナーがキッチンに入った事なんてなかったじゃないですか」

「そうね、たしかに」


コーヒーカップを2つ用意しながら杏奈が囁いた。


「夫婦っていろいろなんですね」


ホールで食器を下げている純子を見てそう言うと、杏奈はコーヒーをカップに注いだ。


「………」


私達はどんな夫婦だろう

何一つ築けないままでここまで来た

今も何一つ信用できない

仮面夫婦って、私達にぴったりの言葉だ…








沙織は連絡をためらっていた倉本にメールを送った。


『来週の金曜、夜7時に逢えませんか』





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