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秘密
第7章 剥がれた仮面
気の抜けた安心感からか涙が滲む。

早とちりの自分に呆れながら、倉本の一途な気持ちが心の奥に熱く流れ込んでくる。

嬉しかった。


意地悪なメールだったと、口をとがらせてもいいだろうか…

思いきり拗ねて甘えたい

それから

温かな胸に抱かれて眠りたい

一晩中一緒にいたい


沙織の気持ちは倉本へと大きく傾いていった。


一晩中…


妻の外泊に、夫は何を思うだろう

これまで私にしてきた事に気付くだろうか

そして、何もしていなかった事にも…

それとも

ほっと胸を撫で下ろすのだろうか…

これで同罪だと


「………」



そうだ「実家へ行く」と言えばいい、わざわざ健さんを巻き込むわけにはいかない



「沙織さん、休憩交代ですよー」


杏奈がやってきた。


「あ、ごめんなさい。
時間過ぎてるわね。ぼーっとしてたわ」

「大丈夫ですよ、ちょうど暇になりましたから」

「そう、よかった。
それじゃ、戻るわね。
お仕事お仕事」


沙織は機嫌よく立ち上がり、更衣室を出た。


後々咲子に余計な心配をさせない為だと自分を納得させ、沙織は倉本と逢える日を指折り数えた。



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