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秘密
第8章 秘密
二つ目の駅で電車を降りると、金曜日という事もあって駅前にはまだ多くの人が行き交っていた。
花屋はそろそろ閉店時刻なのか、外に並べられていた鉢植えの花が次々と店内に運び込まれている。
沙織は時間を確認しながらそこを過ぎ、ホテルへと急いだ。
「ねぇ、そこのお姉さん、ちょっと付き合ってくれない?」
沙織は後ろから聞こえる馴れ馴れしいその声を無視して足を速めた。
「……っ…」
不意に腕を掴まれて立ち止まる。
「沙織…、俺」
横に並んだ倉本が照れた表情で顔を覗き込んできた。
「…っ…、もうっ、びっくりさせないで!」
「あはは、ゴメンゴメン」
肩を軽く叩こうとする沙織の手をよけて、さっと逃げていく倉本をムキになって追いかける。
「ちょっと待って!」
「いやだね」
「もうっ…」
振り向いては立ち止まり、捕まえようとする沙織に追いつかれては、ひらりと身を交わす倉本が憎らしくて愛しい。
周りの視線も忘れてはしゃぐ二人は、ホテルに続く路地を曲がってからやっと静かに歩きだした。
「腕を組んでもいいよ」
「……、はい」
花屋はそろそろ閉店時刻なのか、外に並べられていた鉢植えの花が次々と店内に運び込まれている。
沙織は時間を確認しながらそこを過ぎ、ホテルへと急いだ。
「ねぇ、そこのお姉さん、ちょっと付き合ってくれない?」
沙織は後ろから聞こえる馴れ馴れしいその声を無視して足を速めた。
「……っ…」
不意に腕を掴まれて立ち止まる。
「沙織…、俺」
横に並んだ倉本が照れた表情で顔を覗き込んできた。
「…っ…、もうっ、びっくりさせないで!」
「あはは、ゴメンゴメン」
肩を軽く叩こうとする沙織の手をよけて、さっと逃げていく倉本をムキになって追いかける。
「ちょっと待って!」
「いやだね」
「もうっ…」
振り向いては立ち止まり、捕まえようとする沙織に追いつかれては、ひらりと身を交わす倉本が憎らしくて愛しい。
周りの視線も忘れてはしゃぐ二人は、ホテルに続く路地を曲がってからやっと静かに歩きだした。
「腕を組んでもいいよ」
「……、はい」