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秘密
第2章 誘い
『ありがとう。沙織さんもたまにはお友達と食事でもしてらっしゃい。
どうせ慎一郎は外ですませてくるんだから』
「はい、ありがとうございます」
沙織はほっと胸を撫で下ろして歩きだした。
少なくとも帰宅してすぐに義母の顔を見なくてすむ。
沙織は早朝に来たメールの履歴を開き、しばらく考えてから返信した。
『6時半に伺います。
7時半には帰ります。
家族が待っていますので』
それは相手に期待させない為の口実であり、自分の気持ちがぶれる事を防ぐ為の重石(おもし)でもあった。
ちゃんと話すだけ
そうすれば何の問題もなく終わる
そしていつもの生活に戻る
私はこれからもそれを繰り返して…
携帯が震えた。
『食事するのに1時間だけ?笑
それなら俺は早めに行ってコーヒーを飲みながら君が来るまでの時間を楽しむ事にする』
「……」
沙織は一度目をそらせ、立ち止まって携帯を胸にあてた。
もう一度画面を覗く。
「倉本さん…」
沙織は4年前、同僚だった倉本のあまりにも積極的な誘いが恐ろしくて、慎一郎を選んだ。
迷いなど、あるはずがなかった。
どうせ慎一郎は外ですませてくるんだから』
「はい、ありがとうございます」
沙織はほっと胸を撫で下ろして歩きだした。
少なくとも帰宅してすぐに義母の顔を見なくてすむ。
沙織は早朝に来たメールの履歴を開き、しばらく考えてから返信した。
『6時半に伺います。
7時半には帰ります。
家族が待っていますので』
それは相手に期待させない為の口実であり、自分の気持ちがぶれる事を防ぐ為の重石(おもし)でもあった。
ちゃんと話すだけ
そうすれば何の問題もなく終わる
そしていつもの生活に戻る
私はこれからもそれを繰り返して…
携帯が震えた。
『食事するのに1時間だけ?笑
それなら俺は早めに行ってコーヒーを飲みながら君が来るまでの時間を楽しむ事にする』
「……」
沙織は一度目をそらせ、立ち止まって携帯を胸にあてた。
もう一度画面を覗く。
「倉本さん…」
沙織は4年前、同僚だった倉本のあまりにも積極的な誘いが恐ろしくて、慎一郎を選んだ。
迷いなど、あるはずがなかった。