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秘密
第9章 露見
「…ふ、ふざけるな!」


ガシッ…


拳が慎一郎の頬に打ち付けられた。


「クッ…」


「ゃ、やめてくださいっ!」


咲子が動いた。


「…終わる?
慎一郎、終わるってどういう事?
そんなのイヤよ、無理よ、あなた、わかってるでしょう」


息子にすがり付く母親を目の前に、倉本は拳をブルブル震わせ肩で息をしていた。


「なんで沙織と結婚した、…なんで結婚なんかしたんだ!」


倉本は沙織の代弁者だった。怒りに震え、沙織の為に戦っていた。


「…か、母さんが…」


咲子はハッとして、床に頭を擦り付けるように土下座した。


「ごめんなさい沙織さん、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」


沙織はそれをぼんやりと眺めた。まるで安っぽいドラマを見ているかのように。


「う、疑う人がいたの。…どこかで私達を見かけて、そ、それを疑うお客様が…」

「…っ…、ま、まさか、世間を欺く為に沙織を…」


倉本はまたも慎一郎を締め上げる。


「ぼ、僕は結婚なんて嫌だった、きっとまた、大事な人を傷付ける」

「また?」

「慎一郎っ…やめ…」

「と、父さんに、父に見つかった時みたいに…」



「……っ…」





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