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秘密
第9章 露見
倉本に支えられながら沙織はゆっくりと振り返り、声を絞り出した。
「…ま、松野さんは…、あ、相崎部長は…」
咲子が顔を歪め再び両手をついた。
「あぁッ…ごめんなさいっ、ごめんなさいっ…沙織さん…、あなたを騙して、…かわいいあなたを…うッ…うぅッ…」
閉じていくドアの向こうで、咲子は慎一郎の胸に顔を埋めて啜り泣いていた。
「倉本…、沙織をたの…」
咲子を抱いて哀しげにこちらを向く慎一郎の言葉はドアに阻まれた。
「………」
沙織が二人を見たのは、それが最後だった。