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秘密
第9章 露見
自転車から降りて不思議そうに二人を見つめた母は、「ちょっと待ってて、今鍵を開けるわ」と言って門の中へと入って行った。
荷物を下ろしカチャリとドアを開ける。
「お待たせ。
ほらほら、寒いから早く中に入って」
「あの、お母さん、こちら、倉本さん」
「は、はじめまして、
倉本健です、
あの、ぼ、僕はこれで失礼します。沙織…、さん、じゃあまた今度…あ、いや…」
しどろもどろな倉本に奈美子はクスリと笑った。
「はじめまして、沙織の母です」
浅黒い肌に黒目がちな顔。奈美子はにこやかに会釈をすると沙織に向き直り、持っている荷物を差し出した。
「沙織、これ冷蔵庫に入れといて。それからお茶を用意してちょうだい、急いでね」
「あ、はい」
「先にストーブを着けてね、今夜は冷えるわ」
母の勢いに押され、沙織は受け取ったスーパーの袋を持って家に入って行った。
「倉本さんもどうぞ。
久しぶりのお客様だわ」
「いえ、俺、僕はこれで失礼します」
一礼して門を閉じようとする倉本に近づき、奈美子はさっきとは違う顔をして呟くように言った。
「あの子、指輪してなかったわ…」
荷物を下ろしカチャリとドアを開ける。
「お待たせ。
ほらほら、寒いから早く中に入って」
「あの、お母さん、こちら、倉本さん」
「は、はじめまして、
倉本健です、
あの、ぼ、僕はこれで失礼します。沙織…、さん、じゃあまた今度…あ、いや…」
しどろもどろな倉本に奈美子はクスリと笑った。
「はじめまして、沙織の母です」
浅黒い肌に黒目がちな顔。奈美子はにこやかに会釈をすると沙織に向き直り、持っている荷物を差し出した。
「沙織、これ冷蔵庫に入れといて。それからお茶を用意してちょうだい、急いでね」
「あ、はい」
「先にストーブを着けてね、今夜は冷えるわ」
母の勢いに押され、沙織は受け取ったスーパーの袋を持って家に入って行った。
「倉本さんもどうぞ。
久しぶりのお客様だわ」
「いえ、俺、僕はこれで失礼します」
一礼して門を閉じようとする倉本に近づき、奈美子はさっきとは違う顔をして呟くように言った。
「あの子、指輪してなかったわ…」