この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密
第9章 露見
「…っ…」
奈美子は自分の指にはまったままの結婚指輪を見つめていた。
「とにかく、わざわざ送って頂いたんですからお茶だけでもどうぞ。少しは温まりますよ」
「はい…、では、お言葉に甘えて」
怪訝な顔をするでもなく、どこの馬の骨かも分からない男を奈美子は心よく家に通した。
三人はそれぞれ上着を脱ぎ、台所と繋がっているリビングでテーブルを囲んだ。
「あ、沙織、さっきの肉まん食べる?」
お茶を一口飲むなり奈美子が口を開く。
「……さっき済ませたばかりだからいらないわ」
「そう」
グルル…
倉本のお腹が鳴った。
「倉本さん、肉まん好き?」
「え、はい…」
恥ずかしそうに頭を掻く倉本を見て、笑いながら「三つはいけそうね」と言うと奈美子はまた沙織を動かした。
ゆっくりと湯呑みを口に運び、温めるようにそれを包み込む小さな手。
かさついてシワの多い奈美子の手を見つめ、倉本はようやく落ち着きを取り戻した。
「あの子はいつも黙ったままで、なかなか表に出さないのよ…」
「………」
倉本は顔を上げ、まさか全てを知っているのではないかと、俯く奈美子の瞳を覗き込んだ。
奈美子は自分の指にはまったままの結婚指輪を見つめていた。
「とにかく、わざわざ送って頂いたんですからお茶だけでもどうぞ。少しは温まりますよ」
「はい…、では、お言葉に甘えて」
怪訝な顔をするでもなく、どこの馬の骨かも分からない男を奈美子は心よく家に通した。
三人はそれぞれ上着を脱ぎ、台所と繋がっているリビングでテーブルを囲んだ。
「あ、沙織、さっきの肉まん食べる?」
お茶を一口飲むなり奈美子が口を開く。
「……さっき済ませたばかりだからいらないわ」
「そう」
グルル…
倉本のお腹が鳴った。
「倉本さん、肉まん好き?」
「え、はい…」
恥ずかしそうに頭を掻く倉本を見て、笑いながら「三つはいけそうね」と言うと奈美子はまた沙織を動かした。
ゆっくりと湯呑みを口に運び、温めるようにそれを包み込む小さな手。
かさついてシワの多い奈美子の手を見つめ、倉本はようやく落ち着きを取り戻した。
「あの子はいつも黙ったままで、なかなか表に出さないのよ…」
「………」
倉本は顔を上げ、まさか全てを知っているのではないかと、俯く奈美子の瞳を覗き込んだ。