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秘密
第2章 誘い
「ねぇ、また彼女遅刻するつもりかしら」


更衣室で着替えながらパート仲間の森純子が尖った口調で言う。


「どうかしら?」

「新婚時代ってそんなに凄かった?」

「えっ?」


倉本の事で落ち着かない沙織に構わず純子は喋り続ける。


「あぁ、沙織さんとこもまだ子供はいないんだし好き放題ヤれるってわけね。羨ましいわぁ」

「………」

「彼女この前私になんて言ったと思う?
一回じゃ許してくれなくて朝まで激しかったから疲れて寝坊したんだって…」

「…そう…」

「わかるわよ。
わかるけど遅刻はダメよ。家は近いんだし、私達なんて電車で来てるのにさぁ…」


ドアが勢いよく開いて田代杏奈が飛び込んできた。


「まにあったー」

「来た来た、新婚さんだ。ふふ…」


純子がからかう。


「なんですかー。
あたしの噂してたんでしょー」


汗ばんで肌にへばりついたTシャツを必死に脱ぎながら杏奈が口を尖らせた。


「えぇそうよ……あっ…、ねぇちょっと!」

「えっ…」


純子の大きな声に驚いて、エプロンの紐を結んでいた沙織の手が止まった。




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