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秘密
第2章 誘い
純子の視線の先に目を向ける。


「…っ…」


Tシャツを脱いだ杏奈の胸の谷間、脇の辺り、鎖骨の窪みにくっきりといくつもの小さな赤黒い染みが見える。


「ちょっとあなた、凄いキスマーク…」


キスマーク…


沙織は初めて見たキスマークに目が釘付けになった。


「あ、いっけない」


慌てて隠そうとした杏奈の手を掴み「どれどれ」と監察するふりをしておどける純子。


「も~、やめてくださいよ」


白いブラウスに着替える杏奈を純子は更にからかった。


「早くそのジーンズを脱いで」

「やだなーもう、見ないでくださいよぉ」

「どうせ脱ぐじゃないの」


店内用の黒いスカートを杏奈に向かってヒラヒラと両手で揺らす純子を見ながら、杏奈は恥ずかしそうにジーンズを脱いだ。


「…やっぱり」


スカートを杏奈に手渡しながら、純子は呆れたようにため息をついた。


「…っ!」


杏奈がスカートを穿く為に片膝を上げた瞬間、沙織の目に飛び込んできたのは白い太股の内側、ショーツすれすれに染め付けられた赤紫だった。


「………」


白い肌に舞っている花びらの中のその一枚が、今の沙織を酷く痛め付けた。




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