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秘密
第10章 秋の日に…
『仕事での責任が重くなるに連れて、家に戻る時間を省くしかなくなってきてね。
……正直解放された気分だった。
せめて彼女が、外に目を向けてくれていたら…』
「仕事柄、人様の目を怖れたんでしょうか…」
『今となっては、そう考えるしかない…』
「………」
『沙織さんには本当に、お詫びのしようもない…』
「いいえ、知りたかった事を教えて頂けただけで…」
『調子のいいお願いなんだが……、できれば、しっかりと前に進んでほしい』
「もう、そうしています」
『あぁ、それは良かった。……お陰で少し肩の荷が下りたよ』
「…はい」
『沙織さん』
「はい」
『あの時お義父さんと呼んでもらって嬉しかったよ』
「私もです。父を早くに亡くしましたので」
『そう』
「えぇ…」
『何もなければ…私のかわいい義娘だっただろうね』
「…あの、お義父さん」
『ん?』
「祐二さんは今、パパなんですよ」
『祐二が父親?
私に孫がいるのか…』
『はい、もう5才になっていると思います。男の子です』
『そうか…、そうか…
時間が止まっていたのは私だけなんだね……。
沙織さん、お陰で私もやっと踏ん切りをつけられそうだ。
あなたも幸せになりなさい』
「はい。お義父さんもお身体に気をつけて」
『うむ、ありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございました。
……さようなら」
『…さようなら』
……正直解放された気分だった。
せめて彼女が、外に目を向けてくれていたら…』
「仕事柄、人様の目を怖れたんでしょうか…」
『今となっては、そう考えるしかない…』
「………」
『沙織さんには本当に、お詫びのしようもない…』
「いいえ、知りたかった事を教えて頂けただけで…」
『調子のいいお願いなんだが……、できれば、しっかりと前に進んでほしい』
「もう、そうしています」
『あぁ、それは良かった。……お陰で少し肩の荷が下りたよ』
「…はい」
『沙織さん』
「はい」
『あの時お義父さんと呼んでもらって嬉しかったよ』
「私もです。父を早くに亡くしましたので」
『そう』
「えぇ…」
『何もなければ…私のかわいい義娘だっただろうね』
「…あの、お義父さん」
『ん?』
「祐二さんは今、パパなんですよ」
『祐二が父親?
私に孫がいるのか…』
『はい、もう5才になっていると思います。男の子です』
『そうか…、そうか…
時間が止まっていたのは私だけなんだね……。
沙織さん、お陰で私もやっと踏ん切りをつけられそうだ。
あなたも幸せになりなさい』
「はい。お義父さんもお身体に気をつけて」
『うむ、ありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございました。
……さようなら」
『…さようなら』