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秘密
第3章 渦巻く疑念
──ちゃんと愛されてる?


「………」


なぜ答えられなかったのだろう




沙織は慎一郎に電話をかけた。

呼び出し音が暫く続き、急に途切れた。


やはり仕事中なのだろう。8時半なら、まだ得意先との打ち合わせか接待なのかもしれない

商談中に水を差してしまっただろうか…


時間を確認し、後悔しながら階段を下りた。

何も食べる気にならず、シャワーを浴びようとバスルームに向かった時、携帯が鳴った。


慎一郎だった。



「もしもし、あなた?」

『電話くれた?
悪いね、ちょっと得意先の人に誘われて…、今出先なんだけど、ちょっと席を外してきたんだ。
めずらしいね、何かあった?』

「ごめんなさい、仕事中に電話したりして」

『いやいいよ。
それよりどうかした?』


沙織は携帯を両手で握り締めていた。


「あの、私…、二人で旅行に行きたいの」

『えっ?』


驚くのも無理はないと沙織は思った。


『……どうしたんだ急に…』

「たまにはいいかなと思って…。ほら、二人きりってあまりないから…できれば一泊だけでも…」


沙織にとって、それは大事な事だった。




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