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秘密
第3章 渦巻く疑念
「…いつ?」
「なるべく早く」
「………」
「近くでいいの」
「…そうだね。
日程を確かめてみるよ、今はちょっと返事ができないんだ」
「…そうよね、ごめんなさい、
それじゃあお仕事がんばって」
「あぁ、ありがとう。
あ、沙織…」
「はい」
「先に休んでくれていいよ、遅くなるから」
「えぇ、そうします。
お疲れ様、おやすみなさい」
「おやすみ」
あなた…
私を愛してる?
切れた電話に耳を当てたまま、沙織は慎一郎に問いかけた。
夫の優しい微笑みに、熱がこもった事があっただろうか
優しい声が、熱く囁いてくれた事があっただろうか
それでよかった
これから先もそれでいい
愛されていると思えるなら
裸の私を強く抱きしめてくれるなら
一晩中抱いていてくれるのならそれで…
沙織はキッチンやリビングを見渡し、穏やかな毎日を顧みた。
季節毎に花が咲くようにと毎日庭いじりをしている義母の背中や、ソファで新聞に目を通す夫の姿。
そこに確かな愛があれば…
沙織は精一杯の勇気を出して、夫を誘ったのだった。
平穏な生活を続ける為に。
倉本を忘れる為に。
「なるべく早く」
「………」
「近くでいいの」
「…そうだね。
日程を確かめてみるよ、今はちょっと返事ができないんだ」
「…そうよね、ごめんなさい、
それじゃあお仕事がんばって」
「あぁ、ありがとう。
あ、沙織…」
「はい」
「先に休んでくれていいよ、遅くなるから」
「えぇ、そうします。
お疲れ様、おやすみなさい」
「おやすみ」
あなた…
私を愛してる?
切れた電話に耳を当てたまま、沙織は慎一郎に問いかけた。
夫の優しい微笑みに、熱がこもった事があっただろうか
優しい声が、熱く囁いてくれた事があっただろうか
それでよかった
これから先もそれでいい
愛されていると思えるなら
裸の私を強く抱きしめてくれるなら
一晩中抱いていてくれるのならそれで…
沙織はキッチンやリビングを見渡し、穏やかな毎日を顧みた。
季節毎に花が咲くようにと毎日庭いじりをしている義母の背中や、ソファで新聞に目を通す夫の姿。
そこに確かな愛があれば…
沙織は精一杯の勇気を出して、夫を誘ったのだった。
平穏な生活を続ける為に。
倉本を忘れる為に。