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秘密
第3章 渦巻く疑念
気だるい躰でゆらゆらと起き上がり、朝食の準備にキッチンに入ると、珍しく義母が後から起きてきた。


「おはよう沙織さん」

「おはようございます」

「なんだか今日はすっきりしないわ」

「松野さんに遅くまで付き合わされたんですか?」

「愚痴を適当に聞き流すっていうのも案外大変なのよ」


咲子は少し肩をすくめ、困ったもんだと言う顔をして見せる。


「うふふ、お疲れ様でした」

「いえいえ、なんのこれしき、ふふ…」


サラダにベーコンエッグ、コンソメスープ、コーヒー、トースト。
準備が整ったところに慎一郎が下りてきた。


「おはよう」

「おはよう。昨日はずいぶん遅かったみたいね」


咲子が話しかける。


「あぁ、疲れたよ」

「2時を過ぎてたわね」


沙織も話に加わった。


「えっ、起きてたの?」


めずらしく驚いた顔で慎一郎が沙織を見た。


「えっ、あ、…たまたま目が覚めちゃったの。
タクシーかしら、ドアが閉まる音を聞いただけ」


「…そう、…起こして悪かったね」


夫のほっとした顔がほんの少しひきつって見える。


「ところで沙織、旅行の事なんだけど」




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