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秘密
第3章 渦巻く疑念
話題が変わった。


「あ、えぇ…」

「旅行?」


咲子が二人をキョロキョロと見比べる。


「あ、あの、お義母さん。私達…」

「いってらっしゃい」

「えっ」


沙織は面食らった。


「私もたまには1人でゆっくりと羽を伸ばしたかったのよ。ちょうどいいわ」

「お義母さん…」


咲子はうんうんと沙織に頷き、コーヒーを一口飲んだ。


「あ、そうそう、その変わりと言ったら何だけど、松野さんと旅行に行くかもしれないの、その時はお願いね」

「はい、もちろんです」


二人は慎一郎をそっちのけで盛り上がっていた。


「日程を確認したら連絡するよ」

「あ、はい。お願いします。あの、あなた…」

「ん?」

「ありがとう」

「あぁ」


咲子は二人を残し、空いた食器をキッチンへ持っていった。

ソファに移り新聞に目を通す慎一郎を横目で見ながら、沙織はさっき感じた小さな疑問に蓋をした。


昨日の自分にも蓋をしなければならない

平和な日常に、わざわざ波風を立てる事はない


「……」


あの赤い花…


引き抜いていたのは私なのかもしれない

でもなぜあんな事を言ったのだろう




──それ私よ…






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