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秘密
第3章 渦巻く疑念
「えーっと、なんだっけ」

「えっ?」


二人は顔を見合わせ、再び純子を見た。


「チューリップ…違うな、ヒヤシンス?…なんだっけ、えーっと…」


「やだ、忘れたんですか?…あはは…うける~」


杏奈が愉快そうに笑う。


「うふふ、いろいろと忙しい時に渡されたから忘れちゃった」

「あ、怪しい~、やらし~」


純子は杏奈を相手にしない。


「沙織さん、貰ってくれる?」

「いただきます。
何が咲くのか楽しみだし、ふふ…」


杏奈と一緒に中を覗くと、確かに3、4センチ位の球根が10個程入っていた。


「これってただの芋じゃないですよね」


杏奈がふざける。


「もう、この子ったら、バカな事言わないで」


3人はお腹を抱えて笑い合い、賑やかに更衣室を出てそれぞれの帰路についた。


沙織は駅に向かう純子に、買い物をするからと言い訳をして途中で別れた。

慎一郎と出掛ける日程が決まってからずっと迷っていた沙織は、意を決してデパートのランジェリー売場へと足を向けた。

薄いビンクやベージュといった目立たない色しか選んだ事がなかった沙織は、夫の気持ちがいつもより少しでも奮い立つようにとあれこれ考えていた。



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