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秘密
第3章 渦巻く疑念
帯は夫に解いてほしい

この布を邪魔そうに肩から外し、床に落として熱く抱きしめてほしい

それだけでいい

拗ねて甘えてみたい



沙織は夫が寝ているのではないかと思い、バスルームのドアをそっと開けた。


「…あぁ…それじゃ、おやすみ」


「…っ…」


沙織は慌ててドアを戻した。


いったい誰と電話していたのだろう

女?

同僚?

同僚にあんな風に話すだろうか…


沙織は胸を押さえ、強く鳴り響く鼓動を確かめた。


──あいつが相手だと…萎えるって…ふふっ…


純子の言葉が胸を刺す


夫はやはり浮気しているのだろうか…

違う
違う


いくら否定しようとしても、沙織には自信がなかった。

今日確めるつもりの夫の愛が、すでに離れた場所にあるような気がしてならない。


でも…

私の為だけに休みを取ってくれた


沙織にとってその一点だけがはっきりとしている事実だった。


すぐに聞いてしまえばよかった、そしたらすぐに誤解は解けただろう


あ、義母かもしれない
きっとそうだ


沙織はドアを開け、2つ並んだベッドの真ん中に立ち夫を覗き込んだ。


「あなた、もう眠った?」

「……ん…どうした?」


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