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秘密
第3章 渦巻く疑念
眠そうな声が返ってくる。
さっき聞こえた甘い声は、お酒とこの眠気のせいだ
都合よく答えを見つけ出し、沙織は少しほっとした。
「あなた…あの…」
「ん…」
慎一郎が沙織の方に寝返りをうった。
沙織は勇気を振り絞って帯に手を掛けた。
慣れない自分の行動に胸が苦しくなる。
お願い
お願い
あなた…
それだけを心で叫ぶ
「…沙織、どうした」
帯が擦れる音に薄目を開き、頭を起こした夫の目の前で、沙織の寝間着は肩から足元へハラリと滑り落ちた。
お願い
抱いて…
沙織は目を閉じてじっと待った。
夫の温もりを…。
「沙織、
…やめないか、
君らしくもない…」
「…っ…」
慎一郎は沙織の足元に落ちた寝間着を拾い、沙織の肩にそっと掛けてから前を閉じた。
沙織の躰には目もくれなかった。
「僕は明日早いんだよ。
早く寝たい」
「………」
何事もなかったかのように背中を向けてしまった夫の背中は沙織を拒んでいる。
慎一郎はすぐに寝息を立てた。
「………」
沙織はゆっくりと帯を結び直し、音を立てずにトイレのドアを閉じた。
さっき聞こえた甘い声は、お酒とこの眠気のせいだ
都合よく答えを見つけ出し、沙織は少しほっとした。
「あなた…あの…」
「ん…」
慎一郎が沙織の方に寝返りをうった。
沙織は勇気を振り絞って帯に手を掛けた。
慣れない自分の行動に胸が苦しくなる。
お願い
お願い
あなた…
それだけを心で叫ぶ
「…沙織、どうした」
帯が擦れる音に薄目を開き、頭を起こした夫の目の前で、沙織の寝間着は肩から足元へハラリと滑り落ちた。
お願い
抱いて…
沙織は目を閉じてじっと待った。
夫の温もりを…。
「沙織、
…やめないか、
君らしくもない…」
「…っ…」
慎一郎は沙織の足元に落ちた寝間着を拾い、沙織の肩にそっと掛けてから前を閉じた。
沙織の躰には目もくれなかった。
「僕は明日早いんだよ。
早く寝たい」
「………」
何事もなかったかのように背中を向けてしまった夫の背中は沙織を拒んでいる。
慎一郎はすぐに寝息を立てた。
「………」
沙織はゆっくりと帯を結び直し、音を立てずにトイレのドアを閉じた。