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秘密
第4章 乱されて
ひとつに見えるその花は、よく見ると茎の先端から小さな赤い花が6つ、外向きに咲いている。

その花びらは細く長く、それぞれが外側に反り返り、中心からは糸の様な6本のおしべとめしべが1本、長く飛び出していた。


線香花火みたい…


沙織はその印象的な形と鮮烈な赤に目を奪われた。


水をやる事などすっかり忘れていたのに…


「これから毎年咲くわ。それに、陽当たりもいいからもっとたくさん増えるわよ」


横に立つ咲子が教えてくれた。


「そうなんですか?」

「この花は多年草なの。誰が教えるわけでもないのに、お彼岸の頃になると忘れずにちゃんと咲くなんて、えらいわよねぇ…」


「なんだかちょっと…その、…妖しげな、独特の雰囲気に圧倒されそう…」


あの花だろうか…


「あぁ…、ふふ、それはきっと根に毒を持っているせいだわ」


「…っ…、毒…」


やっぱり…

夢で見た赤い花だ



──それ私よ…



咲子の手が茎の方に伸びる。


「あ…だめっ。
採らないでください」


思わず叫んだ沙織の声に、咲子は驚いて手を止めた。




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