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秘密
第4章 乱されて
咲子を送り出した後、沙織も職場へ向かう支度をして門を出た。
やはりあの花は人目を引くらしく、散歩途中と見られる年配の女性が足を止めて庭を眺めていた。
「おはようございます」
沙織が声を掛けた。
「おはようございます。ごめんなさいね、お庭を覗いたりして。
彼岸花がとっても綺麗に咲いてるもんだからつい…」
「構いませんよ。
私も今朝気がついたんです」
女性はにこやかに頷いた。
「この花程たくさんの名前を持つ花はありませんよねぇ…」
「え、そうなんですか」
「えぇ。…曼珠沙華でしょ、死人花、地獄花、それから幽霊花、毒花、狐の松明(たいまつ)…私が知っているだけでこんなにあるんですよ 」
指を折り曲げながら数えていた手を沙織に向けて笑う。
「ずいぶん怖い呼び名があるんですね」
「ほんと…。花にとっては迷惑な話よね、ふふっ…。
あら、お出掛けの所を引き留めてしまってごめんなさい」
「あ、いえ。
こちらこそ、教えて頂いてありがとうございました、では…」
沙織は深く頭を下げてその場を後にした。
バッグから携帯を取り出し倉本からのメールを確認する。
『君に会いたい』
やはりあの花は人目を引くらしく、散歩途中と見られる年配の女性が足を止めて庭を眺めていた。
「おはようございます」
沙織が声を掛けた。
「おはようございます。ごめんなさいね、お庭を覗いたりして。
彼岸花がとっても綺麗に咲いてるもんだからつい…」
「構いませんよ。
私も今朝気がついたんです」
女性はにこやかに頷いた。
「この花程たくさんの名前を持つ花はありませんよねぇ…」
「え、そうなんですか」
「えぇ。…曼珠沙華でしょ、死人花、地獄花、それから幽霊花、毒花、狐の松明(たいまつ)…私が知っているだけでこんなにあるんですよ 」
指を折り曲げながら数えていた手を沙織に向けて笑う。
「ずいぶん怖い呼び名があるんですね」
「ほんと…。花にとっては迷惑な話よね、ふふっ…。
あら、お出掛けの所を引き留めてしまってごめんなさい」
「あ、いえ。
こちらこそ、教えて頂いてありがとうございました、では…」
沙織は深く頭を下げてその場を後にした。
バッグから携帯を取り出し倉本からのメールを確認する。
『君に会いたい』