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秘密
第4章 乱されて
沙織は慌てて後ずさる。


「ごめんなさい」

「逃がさないって言っただろ?」

「…っ…」


倉本の声が躰を縛り付け、射るような眼差しが心に絡み付く。


怖い…


「や、やっぱり無理よ、…私…っ……」


持っていたバッグが手から滑り落ち、沙織は倉本の腕の中にいた。


「今度会う時は我慢しないって言ったよね」


強くきつくなっていく腕の中で、沙織は怯えて震え、涙を滲ませた。

倉本の匂いがした。


「俺に抱かれろよ…」

「…ンッ…」


沙織の返事などどうでもいいというように、倉本は沙織の唇を奪った。
引こうとする腰に腕を回して引き寄せ、苦しげにもがく頭を手で押さ付けえながら尚も唇を塞ぐ。


「待っ…、苦し…」


沙織の視線を冷たい眼で追い、厚くて柔らかな唇は無理やり沙織の唇を割ろうとして蠢いた。


「うぅッ…」


抗う事を許さない圧倒的な力が、怯む事なく沙織に挑んでくる。


「君が欲しい…愛してるんだ」

「い、言わないで…」


夫が言わない言葉を…


倉本の切なげな声と押し付けられた激しい欲望が、沙織の心に襲いかかった。


「会いたくて気が狂いそうだった…、沙織…嘘じゃない…」




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