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秘密
第5章 仮面の下
「おはようございます。
今日のご予約は3件だけかしら?」


ホールに入ってきた道子に、3人はごく自然に挨拶を返した。


「はい、お昼は3件だけです」


沙織の返事に頷いている道子の方に、純子が近付いていく。


「オーナー、少し顔色が悪いみたいですけど大丈夫ですか?」

「そう?
大丈夫よ、ご心配なく。…ありがとう」

「そうですか、無理しないでくださいね」


道子はレジの釣り銭を確認しながら、軽く頷いて純子を見た。


「純子さん、そのブラウスのボタン、もう1つ上まで閉じてくださる?」

「えっ?…はぁい」


純子は胸元を見つめ、面白くなさそうにボタンを掛けた。

やれやれという顔で純子がテーブルを拭き始めた時、小銭の散らばる音がホールに響いた。


「オーナーっ!」


沙織と杏奈が駆け寄ると、道子は床に座り込んでいた。


「店長っ、店長、オーナーが…」


杏奈がキッチンに入っていった。


「大丈夫ですか?」

「えぇ…大丈夫…」


沙織に支えられ、道子はなんとか立ち上がろうとしてふらついた。


「道子っ…」


店長の浅田が慌てて飛び込んで来た。





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