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桜宴香~おうえんか~
第1章 桜宴香
「あの……湊(ミナト)さん?」
少し高めのやさしい声に呼ばれ、ふいに肩を叩かれて自分が眠りこけていたことに気づく。
「やべ!呼び出し??」
ガバっと身体を起こすと
「お仕事じゃないですっ!あ、あのあの、ごっごめんなさい!起こしてしまって」
見知らぬ女の子がおろおろとしながら俺の横にしゃがんでいた。
童顔で色白の、さらさらな長い髪が印象的な可愛らしい女の子。結構好みかも。
「いや、かえって助かりました。こんなところで寝てたら風邪ひ……」
お礼を言いながらまじまじと彼女を眺めると違和感を覚える。
なんだ??もしかしてこの子、服……着てねえんじゃねえの?まるっきり。
白い肌が露わになっている。これじゃ風邪ひくどころの騒ぎじゃない。
「君、」
「あのっ!お、お願いがあるんです」
服は?と聞こうとした俺の言葉を遮った彼女は、俺の腕を掴んで立ち上がらせると手を取って自分の胸に押し当てた。
「ちょっ!なっ!」
うろたえる俺を他所に、彼女は
「あたしを……今ここで抱いてくれませんか?」
震える声で、でもはっきりとそう言った。
彼女の黒目がちな瞳は潤み形の良い唇は半開きになっていて、首を傾げるその仕草がとても可愛らしくもあり妖艶でもある。
何?新手の風俗??あとでぼったくられるとか?
「いやいやいや、俺、金持ってないし」
「そんなのいりません!」
「だって君のこと、全然知らな……」
「私は湊さんのことを、ずっとまえから知ってます」
「へ?」
彼女の言葉に驚く。