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大地の恋
第2章 若葉の頃
週明けの月曜日、出勤途中で橋本さんを見つける。
「おはよう橋本さん」
「あ、おはようございます。体調はどうですか?」
「お陰様ですっかりいいよ」
「……良かった」
あの後も俺が起きるまで橋本さんはただ隣にいた。
不思議とそれが嫌ではなく、心地好くさえ感じられて……
「チカちゃん…」
「えっ!?」
「……ってみんな呼んでるだろ?俺も呼んだら迷惑?」
「い、いえ!迷惑だなんてとんでもない!光栄です!!」
ブンブン首を振ってチカちゃんは頬を赤らめる。
「あ、ちなみに“千”の“花”って書くんです」
「へぇ…」
呼ぶときに漢字は関係ないんだけど…
なんだか一生懸命な感じが可愛くて、やっぱり妹がいたらこんな感じなのかと思う。
「千花ちゃん昼飯は弁当?」
「はい」
「そうか…」
「……どうしてですか?」
「この間のお礼に昼飯でも奢ろうかと思ったんだけど」
「………」
「弁当あるんじゃな……」
「ふ、ふたつ食べます!」
千花ちゃんの表情は真剣そのものだ。
「…そんなに食えるのか?」
「食べます!だって板橋さんとランチですよ!?」
「………」
この言い方……
「別に俺と飯食ったって味なんか変わんねーぞ」
「でも私板橋さんの事もっと知りたいです」
「…知ってどうするんだよ」
「だって一緒に仕事する仲間ですよ?知りたいと思うの当たり前じゃないですか!」
「………」
その瞬間、無性に自分が恥ずかしくなった。
そうだ、この子には下心なんてないだろう。
「別に今日じゃなくてもいいけど…」
「本当ですか!?明日にしてもらってもいいですか?」
「やっぱ食えねーんじゃねーか…」
「食べる気なら食べられます…多分。でも美味しくご馳走になりたいんで」
「腹一杯で午後寝られても困るしな、しょうがねー」
「先に言ったのは板橋さんですよ?」
こんなテンポの会話は記憶にある。
優しく大切な記憶が風にめくられたページように蘇って胸が痛んだ。
「おはよう橋本さん」
「あ、おはようございます。体調はどうですか?」
「お陰様ですっかりいいよ」
「……良かった」
あの後も俺が起きるまで橋本さんはただ隣にいた。
不思議とそれが嫌ではなく、心地好くさえ感じられて……
「チカちゃん…」
「えっ!?」
「……ってみんな呼んでるだろ?俺も呼んだら迷惑?」
「い、いえ!迷惑だなんてとんでもない!光栄です!!」
ブンブン首を振ってチカちゃんは頬を赤らめる。
「あ、ちなみに“千”の“花”って書くんです」
「へぇ…」
呼ぶときに漢字は関係ないんだけど…
なんだか一生懸命な感じが可愛くて、やっぱり妹がいたらこんな感じなのかと思う。
「千花ちゃん昼飯は弁当?」
「はい」
「そうか…」
「……どうしてですか?」
「この間のお礼に昼飯でも奢ろうかと思ったんだけど」
「………」
「弁当あるんじゃな……」
「ふ、ふたつ食べます!」
千花ちゃんの表情は真剣そのものだ。
「…そんなに食えるのか?」
「食べます!だって板橋さんとランチですよ!?」
「………」
この言い方……
「別に俺と飯食ったって味なんか変わんねーぞ」
「でも私板橋さんの事もっと知りたいです」
「…知ってどうするんだよ」
「だって一緒に仕事する仲間ですよ?知りたいと思うの当たり前じゃないですか!」
「………」
その瞬間、無性に自分が恥ずかしくなった。
そうだ、この子には下心なんてないだろう。
「別に今日じゃなくてもいいけど…」
「本当ですか!?明日にしてもらってもいいですか?」
「やっぱ食えねーんじゃねーか…」
「食べる気なら食べられます…多分。でも美味しくご馳走になりたいんで」
「腹一杯で午後寝られても困るしな、しょうがねー」
「先に言ったのは板橋さんですよ?」
こんなテンポの会話は記憶にある。
優しく大切な記憶が風にめくられたページように蘇って胸が痛んだ。