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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
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帰宅し、テーブルの上にチラシを投げた。
タンスの奥から旅行かばんを引っ張り出し当面の着替えと保険証、通帳を詰める。

どこかへ行こうと思った。
どうしてこんなことをするのかわからなかったけど、とりあえずここではないどこかへ行きたかった。

簡単な戸締まりの後、玄関を出た。

*****

「ひとり暮らしなのに家出するなんてアンタ、斬新ね~」

高層マンションから見える夜景。
革張りのソファーに座ったマイコがワイングラスを揺らしている。
今日もジャージを着ているのが笑える。

あれから―
県外に移り住んだ母の元へ行こうかとも思ったけど。
“新しいお父さん”の実家でお嫁さんをしている母。
いい歳をした娘が訪ねて行って迷惑を掛けないはずがない。
ただでさえ再婚、熟年新婚生活。
こんな私でも母が幸いであることを願っているのだ。
血を分けた母子だけれど、再婚が決まった時点で私たちの縁は薄くなってしまった。
実の父とは2歳の頃から会っていない。音信不通だ。
何だか本当にひとりぼっちの気分‥。

行くあてもなく、浮かんだのはマイコだけだった。
だって友達少ないんだもん‥。

前日にも呼び出し、電話の際にはぐちゃぐちゃMAX、迷惑きまわりない私をマイコは温かく受け入れてくれた。
旅行かばん片手にノロノロやって来る私に、エントランスの外で待っていてくれたマイコ。
Fカップの豊かな胸に飛び付いた。
マイコの顔を見たら嬉しくて、悲しくて、安心した。

『マイゴッ。私、マイゴの言う通りだったぁ~私、寂しい。
私、ひとりぼっちだったぁ~』

号泣する私を、マイコは抱き締める。
寂しい、寂しい、ひとりぼっちは嫌だと何度も呻く。

「馬鹿ねぇ。みちるはひとりぼっちじゃないでしょう?
私がここにいるじゃない」

*****
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