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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
*****

「うわッ。お前酒臭ッ!!!ヘドロみてぇな匂いがする‥」

開口一番、爽介に罵られる。
車に乗り込むなり消臭剤を吹き付けられる私。
これって‥人体に直接かけちゃいけないやつじゃない?

蛍光黄緑のTシャツ+やっぱりゆるゆるジーンズ。
今日のジーンズはインディゴの色合いが深い。
またお洒落なスニーカーを履いてる。
茶色い大きなフレームの眼鏡。

私はマイコが譲ってくれたカシュクールタイプのワンピース。
色は珍しく淡いピンク。
何となく、桃っぽい。
旅行かばんからのワードローブからで良かったのだけれど、限りなくラスボスに近いお洒落番長はそれを許さなかった。
靴は荷物の中から履きやすいいつものミュール。

デート仕様にしてくれたのは嬉しいけど、ここ数日の悪行の積み重ねがダイレクトに体臭に出てる。

「どんだけ呑んだんだよ?!」

『三日三晩、正常な判断がつかなくなるまで』

爽介がふふんと笑った。

「そんなに辛かったのか。肥やしに女が出来たのが」

爽介がちらりと旅行かばんに視線を走らせる。
絶句。

『……なんで知ってるの?』

「正常な判断がつかなくなったお前が教えてくれたよ。誰も訊いちゃいねぇのに、ぺらぺらぺらぺら。
俺のキスは拒んだくせに、肥やしのキスに溺れただとか。
若干ぎこちなかったのがオツだとか。
才能があるから仕込んでやりたいだとか。
《女が男に染められる時代は終わった。これからは女が男を染める時代だ。
夜明けだ。革命だ。みちる色レボリューション!生足魅惑のマーメイド》だとか。
だけどセックスは断られた、自分には女としての魅力がないのか。29歳は女盛りじゃなかったのか。
勤め先のスーパーでは毎月29日にカルビが安くなるだとか。
肥やしはどちらかと言うと誘い受けな気がする、男として肥やしはどう映るか。俺は肥やしを抱けるのか。
801穴はどこにあるのか。心が澄んだ人間にしか見えないのか。
赤裸々過ぎるだろ。相当えげつないよ。
はっきり言う。みちる、お前は酒癖が悪い」

そ‥そんなことを私はあなたに??
の‥呑まれてる。

『す‥すみません。爽介さん。
ご迷惑お掛けしてしまったようで…どうして迎えに来てくれたの?』

「弱った隙に漬け込むってのが女をオトすセオリーだろ。
俺、百戦錬磨なもんで」
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