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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
「お前には酒よりもっといいモンくれてやる。‥シャワー先に浴びる?」
何も答えずにうつむいていると、腕を引かれ浴室に連れて行かれた。
「帰るなら今の内だぞ。後は嫌がっても逃がさない。
嫌なら全力で拒め」
爽介に労るような優しいキスをされた。
私は拒まなかった。
*****
爽介にTシャツを借り、フローリングの床で膝を抱える。
髪の毛を乾かしたかったけど、ドライヤーの場所を訊きそびれてしまった。
髪の毛を乾かしてくれる大きな手も、桃の香りのヘアクリームもここにはない。
優しい葵を怒らせ、ひとりになるのが怖くて爽介に甘えている。
漬け込んでいるのは私の方だ。
葵の優しさに漬け込み、今、爽介の優しさに漬け込もうとしている。
「……どうした?」
濡れ髪をタオルで拭きながら爽介が近付いてきた。
腰にバスタオルが巻かれている。
筋肉質な裸。顔に血液が集まる。
‥直視出来なくて膝に顔を埋めた。
「―――コレ、アイツにやられたんじゃないよな?」
爽介が真剣な表情で尋ねてくる。
無数のアザ。
Tシャツでは隠し切れない剥き出しになった両脚のアザ。
‥そのいずれかは葵につけられたもの。
けれど爽介には告げることが出来なくて―
『違う。酔っ払ってひっくり返っちゃったの』
「お前なぁ‥痕が残ったらどうすんだよ。
女なんだから少しは気をつけろよ」
心配そうな爽介の眼差しにドキリとする。
色素の薄い瞳。
私が好きだった瞳‥。
身体を抱え込まれ、足首を掴まれる。
「ほっせぇ足首‥足もちっちぇ」
爽介の手のひらがアザのあたりをさする。
ゾクゾクした。
爽介の髪の毛の滴が落ちてくる。
無言で暫くの間、見つめ合った。
爽介が私を抱いたまま立ち上がった。
「―――可愛い」
何も答えずにうつむいていると、腕を引かれ浴室に連れて行かれた。
「帰るなら今の内だぞ。後は嫌がっても逃がさない。
嫌なら全力で拒め」
爽介に労るような優しいキスをされた。
私は拒まなかった。
*****
爽介にTシャツを借り、フローリングの床で膝を抱える。
髪の毛を乾かしたかったけど、ドライヤーの場所を訊きそびれてしまった。
髪の毛を乾かしてくれる大きな手も、桃の香りのヘアクリームもここにはない。
優しい葵を怒らせ、ひとりになるのが怖くて爽介に甘えている。
漬け込んでいるのは私の方だ。
葵の優しさに漬け込み、今、爽介の優しさに漬け込もうとしている。
「……どうした?」
濡れ髪をタオルで拭きながら爽介が近付いてきた。
腰にバスタオルが巻かれている。
筋肉質な裸。顔に血液が集まる。
‥直視出来なくて膝に顔を埋めた。
「―――コレ、アイツにやられたんじゃないよな?」
爽介が真剣な表情で尋ねてくる。
無数のアザ。
Tシャツでは隠し切れない剥き出しになった両脚のアザ。
‥そのいずれかは葵につけられたもの。
けれど爽介には告げることが出来なくて―
『違う。酔っ払ってひっくり返っちゃったの』
「お前なぁ‥痕が残ったらどうすんだよ。
女なんだから少しは気をつけろよ」
心配そうな爽介の眼差しにドキリとする。
色素の薄い瞳。
私が好きだった瞳‥。
身体を抱え込まれ、足首を掴まれる。
「ほっせぇ足首‥足もちっちぇ」
爽介の手のひらがアザのあたりをさする。
ゾクゾクした。
爽介の髪の毛の滴が落ちてくる。
無言で暫くの間、見つめ合った。
爽介が私を抱いたまま立ち上がった。
「―――可愛い」