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第8章 【紫陽花色の雨】

『あぁッ‥爽介ダメッ………』

「知らねぇよ。まだ半分も入ってねぇ」

繋がった部分を触らされる。
確かに収まっていなかった。

『痛いよぉ‥‥壊れちゃうよッ………』

「壊れれば？」

『……………！！！』

爽介がズンと奥を突く。呼応するように膣が収縮した。
痛みと甘い痺れ。
繋がった部分が粘液で濡れていた。手のひらがベトベトになった。
その粘液が私のものなのか爽介のものなのかわからなかった。
爽介が私の手のひらをそこから離した。
固く指同士を絡める。

「あぁ……もう本当にどうでもイイ…………」

爽介がぴたりと腰の動きを止めた。
目蓋を閉ざし集中している。
目蓋や睫毛が小刻みに震えている。
頬を高潮させ、汗が流れていた。
膣がまた収縮した。
私もどうでもいい、どうなってもいいと思った。

「‥‥あんま締めんなよ。まだ何も楽しんでねぇ」

爽介が深く侵入してきた。
愛おしく感じ、爽介の硬い胸に唇を落とす。

「煽んな」

律動が再開された。
打ち付ける間隔は徐々に短くなり、静かな部屋にお互いの皮膚がぶつかる音が響く。

『あッあッあッあッ』

激しい律動の音。水音。爽介の荒い息。私の嬌声―
自分の声ばかり響いているようで、手の甲を噛んで声を押さえようとする。

「邪魔」

爽介がぞんざいに手を振り払った。
唇の中に舌が入り込んでくる。
くぐもった声を上げた。
爽介が目蓋を閉じたまま、眉を寄せた。
すぐに色素の薄い瞳が私を捕らえる。

「声聴かせろ」

前後左右上下わからなくなるほど激しく身体を揺すぶられた。

「あぁー‥トロトロだ……」

爽介が悩ましい声を上げる。
その声を掻き消すように私は悲鳴を上げた。

『爽介……イクッ…』

「‥イケよ」

私は昇りつめたが、爽介は腰の動きを止めなかった。
余計に動きが激しくなった。
ぐったりしている私の身体を揺さぶり続けた。

「あ、あ……」

爽介が初めて嬌声らしい嬌声を上げた。
やっぱり、その蠱惑的な声をずっと聴いていたいと思った。

「みちる―――」

唇が降ってきた。応える気力はなく、爽介の唇をただ受け止めた。
爽介の一部が私の中で震えた。限界が近いようだった。

私が朦朧と天井を見上げていた時―
ソレがずるりと引き抜かれた。
白濁液が私のお腹に放たれた。
滴が飛び散りシーツを汚した。

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