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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
『爽介の部屋にいた。セックスしてきたの』
葵が慟哭した。
葵の心が砕け散る音がした。
心なんて目には見えない。
心の音なんて聴こえるはずがない。
―それでも確かに、私の耳には聴こえた。
『今までありがとう。もう私のことは心配してくれなくて大丈夫。
これからは葵の“特別なひと”を大事にしてあげて』
葵は微動だにしなかった。
瞬きもせずに凍りついていた。
浴室に行くのも諦め、捨て鉢な気分で葵に背を向け服を脱いだ。
畳の上にワンピースを落とす。
「‥何それ…」
振り向かず、部屋着に手を伸ばす。
部屋着を落とした。
裸のまま、後ろから葵に抱き締められていた。
「‥オレが欲しいって言った癖に…」
『あれは間違いだった。第一、葵は私を抱けないじゃない。私は“特別”じゃないんだから』
「‥ソウスケが好きなの?…」
『葵には関係ない』
「‥こっち見て。オレの眼を見て」
葵の顔なんて見たくない。今の私の顔を見せたくない。
振り向かせようとする葵と揉み合う。
「‥みちるちゃんは、セックスがしたかったの?
オレとしたかったわけじゃなくて?
‥誰でも良かったの?」
『誰でも良かったよ!』
振り返り、葵を睨み付ける。
葵の心がまた、小さく壊れた。
どうしてそんなに傷ついたような顔を見せるのだろう。
―私のことが特別ではない癖に。
葵を傷つけ、引き千切れるように心が軋んだ。
しかし、私はやはり心のどこかでこの子を傷つけたいと願っていたのかも知れない。
―葵の綺麗な顔を苦痛に歪ませることに昏い悦びを感じた。
‥もっと私のことを考えればいい。
壊れた心が私でいっぱいになって何も考えられなくなればいい。
私といっしょにもがき苦しめばいい。
『もうどうだっていいんだってば!
葵は彼女とお幸せに!』
「‥彼女…?…」
葵の眉がわずかに動いた。
『“特別なひと”が出来たんでしょ?!
葵はそのひとのことは抱くんでしょ?!』
葵の目蓋が固く閉ざされた。
「―みちるちゃんには、関係ない」
葵が慟哭した。
葵の心が砕け散る音がした。
心なんて目には見えない。
心の音なんて聴こえるはずがない。
―それでも確かに、私の耳には聴こえた。
『今までありがとう。もう私のことは心配してくれなくて大丈夫。
これからは葵の“特別なひと”を大事にしてあげて』
葵は微動だにしなかった。
瞬きもせずに凍りついていた。
浴室に行くのも諦め、捨て鉢な気分で葵に背を向け服を脱いだ。
畳の上にワンピースを落とす。
「‥何それ…」
振り向かず、部屋着に手を伸ばす。
部屋着を落とした。
裸のまま、後ろから葵に抱き締められていた。
「‥オレが欲しいって言った癖に…」
『あれは間違いだった。第一、葵は私を抱けないじゃない。私は“特別”じゃないんだから』
「‥ソウスケが好きなの?…」
『葵には関係ない』
「‥こっち見て。オレの眼を見て」
葵の顔なんて見たくない。今の私の顔を見せたくない。
振り向かせようとする葵と揉み合う。
「‥みちるちゃんは、セックスがしたかったの?
オレとしたかったわけじゃなくて?
‥誰でも良かったの?」
『誰でも良かったよ!』
振り返り、葵を睨み付ける。
葵の心がまた、小さく壊れた。
どうしてそんなに傷ついたような顔を見せるのだろう。
―私のことが特別ではない癖に。
葵を傷つけ、引き千切れるように心が軋んだ。
しかし、私はやはり心のどこかでこの子を傷つけたいと願っていたのかも知れない。
―葵の綺麗な顔を苦痛に歪ませることに昏い悦びを感じた。
‥もっと私のことを考えればいい。
壊れた心が私でいっぱいになって何も考えられなくなればいい。
私といっしょにもがき苦しめばいい。
『もうどうだっていいんだってば!
葵は彼女とお幸せに!』
「‥彼女…?…」
葵の眉がわずかに動いた。
『“特別なひと”が出来たんでしょ?!
葵はそのひとのことは抱くんでしょ?!』
葵の目蓋が固く閉ざされた。
「―みちるちゃんには、関係ない」