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Re:again
第2章 【リップサービス】
荷物をかっさらって忍びのようにサササッと去ろう。
どうせ誰も気づくまい。
しみったれたアライグマくの一なんて。
化粧室から出ようとすると、誰かにぶつかった。
『あだっ‥ゴメンナサイ』
低い鼻を擦りながらぶつかった人物を確認する。
腕を組んだ爽介が無表情で私を見下ろしていた。
『じゃ、お先に~』
上擦った声を出しながら、爽介の前を通りすぎようとしたところで…爽介の腕の中に閉じ込められてしまった!
背中には冷たい壁の感触。
両頬のすぐそばには爽介の逞しい手をつかれ‥あ‥憧れの壁ドン!
死ぬまでに一度はされてみたかった憧れの壁ドン!!
「随分と遅いから。‥オナッてた?」
爽介の瞳が弧を描く。
ひッ‥憧れの壁ドンのはずなのに何だか色々と間違っとる!
耳元で囁かれた爽介の声は、記憶の中のものよりもずっと低くて艶があった。
爽介はこどもの頃から小柄で、常に私の方が背が高かった。
現在、私は155cm。
低いヒールを履いていても爽介の方がわずかに高い。
爽介に見下ろされるのははじめてだ。
何もかもが私の胸をギュッと掻き乱す。
爽介は私のことなど覚えていないはずなのに―
『そんなわけないでしょ‥』
壁ドンだわ、爽介だわ、久しぶりに男のひととの接近だわでわっちゃわっちゃになる私。
強く言い返したいのに(そして早く家に帰りたい‥)声がどうしても弱くなってしまう。
フッと爽介が笑う気配がした。
しまった。喜ばせてしまった!!!
「ほんと?確かめてみようっと」
爽介を喜ばせるとロクなことがない。
全身の血の気が下がった。
経験上(青春コンプリートマスター)わかっている私は踵を返そうとするのに、またもや玉砕。
ものの見事に爽介に担ぎ上げられ、化粧室に引き戻される。
「ワッショイ」
私の身体を抱えながら爽介が笑った。
こどものように無邪気な笑い声だった。
*****
どうせ誰も気づくまい。
しみったれたアライグマくの一なんて。
化粧室から出ようとすると、誰かにぶつかった。
『あだっ‥ゴメンナサイ』
低い鼻を擦りながらぶつかった人物を確認する。
腕を組んだ爽介が無表情で私を見下ろしていた。
『じゃ、お先に~』
上擦った声を出しながら、爽介の前を通りすぎようとしたところで…爽介の腕の中に閉じ込められてしまった!
背中には冷たい壁の感触。
両頬のすぐそばには爽介の逞しい手をつかれ‥あ‥憧れの壁ドン!
死ぬまでに一度はされてみたかった憧れの壁ドン!!
「随分と遅いから。‥オナッてた?」
爽介の瞳が弧を描く。
ひッ‥憧れの壁ドンのはずなのに何だか色々と間違っとる!
耳元で囁かれた爽介の声は、記憶の中のものよりもずっと低くて艶があった。
爽介はこどもの頃から小柄で、常に私の方が背が高かった。
現在、私は155cm。
低いヒールを履いていても爽介の方がわずかに高い。
爽介に見下ろされるのははじめてだ。
何もかもが私の胸をギュッと掻き乱す。
爽介は私のことなど覚えていないはずなのに―
『そんなわけないでしょ‥』
壁ドンだわ、爽介だわ、久しぶりに男のひととの接近だわでわっちゃわっちゃになる私。
強く言い返したいのに(そして早く家に帰りたい‥)声がどうしても弱くなってしまう。
フッと爽介が笑う気配がした。
しまった。喜ばせてしまった!!!
「ほんと?確かめてみようっと」
爽介を喜ばせるとロクなことがない。
全身の血の気が下がった。
経験上(青春コンプリートマスター)わかっている私は踵を返そうとするのに、またもや玉砕。
ものの見事に爽介に担ぎ上げられ、化粧室に引き戻される。
「ワッショイ」
私の身体を抱えながら爽介が笑った。
こどものように無邪気な笑い声だった。
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