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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
*****
夢をみた―
彼が私の上に跨がっている
私は彼に言った
―私を助けて
彼は私の首に手を伸ばす‥
そして―
*****
自分の部屋にいた。
一瞬、ここがどこなのか爽介の部屋なのか、自分の部屋なのか、それとも《彼》と共に暮らしたあの部屋なのかわからず錯乱した。
暗闇に目が慣れてくると爽介は仕事で留守にしていること、そのため自分の部屋に帰って来ていることを思い出した。
私は裸で布団の上に横たわっていた。
肌を覆うタオルケットなどは何もない。
部屋にはひんやりとした夜の空気が満ちていた。
晒された素肌が心地良い。
雨が降っているようだった。
さらさらという雨音がかすかに聴こえる。
桃の香りが漂っていた。
そのみずみずしい甘やかな香りは脳の奥を痺れさせた。
眠る前、寝付きを良くするためにビールを口にしたことを思い出す。
アルコールのせいで気だるいのだと夢うつつの状態で思った。
―誰?
裸の私の上に人影が覆い被さっていた。
これが夢ならば、正しく《彼》以外の何者でもなかった。
ただ、私は夢うつつになりながらも脳の半分は覚醒していた。
微睡みと闘いながら人影に目を凝らした。
人影は私の身体中に口付けを落としていた。
人影は男で、私と同様に人影も裸だった。
骨格は立派であるのに、肉付きが薄いせいで華奢な印象も抱かせる不思議な身体つきだった。
口付けを落としながら、時折人影の勃立したものが私の身体のどこかにぶつけられた。
人影は自身の一部を扱きながら無心に私の身体へと唇を寄せた。
『―――どうして?』
脳の甘い痺れを諫めながらやっと口にした。
「―――言ったじゃない‥オレはその気になれば誰でも抱けるって」
人影の身体に触れようとしたが、人影は私の手のひらをかわしてしまう。
代わりにまた、勃立した一部が脚にぶつけられた。
口付けだけの愛撫。
―会いたかった。
言葉にしたいけれど、言えなかった。
私の口からはするりと別の言葉が出た。
『―――私を殺して』
夢をみた―
彼が私の上に跨がっている
私は彼に言った
―私を助けて
彼は私の首に手を伸ばす‥
そして―
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自分の部屋にいた。
一瞬、ここがどこなのか爽介の部屋なのか、自分の部屋なのか、それとも《彼》と共に暮らしたあの部屋なのかわからず錯乱した。
暗闇に目が慣れてくると爽介は仕事で留守にしていること、そのため自分の部屋に帰って来ていることを思い出した。
私は裸で布団の上に横たわっていた。
肌を覆うタオルケットなどは何もない。
部屋にはひんやりとした夜の空気が満ちていた。
晒された素肌が心地良い。
雨が降っているようだった。
さらさらという雨音がかすかに聴こえる。
桃の香りが漂っていた。
そのみずみずしい甘やかな香りは脳の奥を痺れさせた。
眠る前、寝付きを良くするためにビールを口にしたことを思い出す。
アルコールのせいで気だるいのだと夢うつつの状態で思った。
―誰?
裸の私の上に人影が覆い被さっていた。
これが夢ならば、正しく《彼》以外の何者でもなかった。
ただ、私は夢うつつになりながらも脳の半分は覚醒していた。
微睡みと闘いながら人影に目を凝らした。
人影は私の身体中に口付けを落としていた。
人影は男で、私と同様に人影も裸だった。
骨格は立派であるのに、肉付きが薄いせいで華奢な印象も抱かせる不思議な身体つきだった。
口付けを落としながら、時折人影の勃立したものが私の身体のどこかにぶつけられた。
人影は自身の一部を扱きながら無心に私の身体へと唇を寄せた。
『―――どうして?』
脳の甘い痺れを諫めながらやっと口にした。
「―――言ったじゃない‥オレはその気になれば誰でも抱けるって」
人影の身体に触れようとしたが、人影は私の手のひらをかわしてしまう。
代わりにまた、勃立した一部が脚にぶつけられた。
口付けだけの愛撫。
―会いたかった。
言葉にしたいけれど、言えなかった。
私の口からはするりと別の言葉が出た。
『―――私を殺して』