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第8章 【紫陽花色の雨】
「邪魔すんぞ」

「‥ちょっと‥入って来ないでよ!!…」

「さっさと退けよ。
お前もチンポついてるならちゃんとけじめをつけろ!」

部屋の中に押し入ろうとする爽介とそれを阻もうとする葵。

「‥止めて!止めてよ!!…」

爽介の勢いに飲まれ、ドアが開く―

「みちる。よく見ろ。これが真相だ」

「‥みちるちゃん!見ないで!!…」

爽介と葵が同時に叫んだ直後―
髪の毛の長い女性が私に微笑み掛けた。

「よッ。久しぶり、ミーコ。てか、揃いも揃ってうるせぇよ。
他人の部屋の前で騒ぐな。立ち話もナンだからとりあえず上がれば?」

*****

『えっと‥これはどういうことですか…??』

隣室に上がり、5人で座卓を囲む。
部屋の主は茶髪のロングヘアーの女の子。
洋服は黒づくめでロングスカートを穿いている。
お化粧はしていないけど、見惚れるほどカワイイ。そしてその顔は誰かにソックリで―
違和感を感じるのは胡座をかいた座り方‥。

「見たまんまだよ。
こんだけ俺にソックリなんだからわかんねーワケねぇだろ。
お前、コイツのこと良く知ってんじゃん。可愛がってただろ」

『もしかして‥ま‥真央ちゃん…??』

安田三兄弟・三男真央!!

「あたりー♪ミーコは変わんないねぇ。
相変わらずブサイク」

『なんで‥女の子の恰好してるの??
葵と真央ちゃんは知り合いなの??』

「コイツ、オカマなんだよ」

「ちげぇよ!俺と葵、高校からのダチ。大学も学部はちげぇけどいっしょ。俺はオカマじゃねぇぞ!」

「爽ちゃん違うでしょ。みーちゃん、真央はねバンドマンなんだよ。スカート穿くけどたぶんノーマルだよ。
僕的にはどっちでも良いけど」

「良くねぇよ!もっと俺に関心を示せよ‥弟のアイデンティティーに関する由々しき事態だってのに‥。
葵だってたまにスカート穿いてるだろ。ファッションだよ。ミーコも見たことあるだろ?」


『あるけど‥あれっ?ふたりは付き合ってるんだよね?!えっ?!ボーイズラブ?!』

「誰と誰とがだよ……」

『葵と真央ちゃん‥』

「はぁ?!手足にチェーン巻いて四方向から同時に高速回転させながら引っ張んぞ!!
バラバラになれよブサイク!!
てか葵はどこ行った!!テメェが蒔いたタネだろ!どうにかしろ!!」

喋り方まで爽介にソックリ。

『葵…?…』
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