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第8章 【紫陽花色の雨】
葵は立ったままカーテンにくるまり壁に擬態しようとしている。
すすり泣きが聴こえる。

「隠れれるわけねぇだろ!そんなにデケー図体してんのに。
この木偶の坊がッ!!こっちに座ってちゃんとミーコに説明しろ!」

「‥だから早く引越してって言ったのに‥
みちるちゃんには絶対会わせたくなかったのにぃ‥マオの馬鹿ぁッ!!仮性包茎!!…」

うっうっうっと泣きじゃくる葵。

「おい。なんでここで俺の下半身事情ブッ込んできたんだよお前‥後ろから撃たれるってこういうコトだな‥」

「真央、仮性包茎なの~?」

孝介の声が弾む。

「心配するな真央。
きっと時間と金で解決出来る。孝介なんて鼻くそみてぇにちっせぇぞ。おまけに早漏だ。
だから道具に頼らざるを得ない。可哀想なヤツなんだよ‥」

「憐れむな!!
爽ちゃんに比べたら皆鼻くそだろ!
僕は早漏じゃない!!」

「‥黙れ。兄貴たちは喋んな。話がややこしくなる‥そして下半身事情をちょいちょいブッ込むな。女に聞かせる話じゃねぇよ‥ミーコがいるんだぞ!」

「あーぁ。僕はその子の気持ちわかるなー。爽ちゃんと真央ソックリなんだもん。僕の印象が薄くなる。どっちも掘られちゃえばいいのに」

「「黙れ!早漏がッ!!」」

爽介と真央がハモッてる‥。

『‥ねぇ、葵どういうこと…?
私と真央ちゃんを会わせたくなかったの…?』

泣きじゃくりながら壁をよじ登ろうとする葵。

「止めろよ!他人の部屋の壁破壊すんな!
ただでさえ散々俺に迷惑掛けただろ…この数日、ミーコと爽兄がいっしょだったからコイツ嫉妬に狂ってスゲー迷惑だったよ。
部屋中の漫画抜き出してドミノ倒ししたり。光源氏的超大作妄想絵巻物書いたり。尋常じゃない量のじゃがいもスライス作ったり。
夜になると俺の枕元で煎餅を粉々になるまで砕くんだよ。朝方までバリバリバリバリ‥ウルセーよ!食い物粗末にすんな!
俺の顔見りゃここから出てけって騒ぐし。
追い出しても合鍵で侵入してくるし。
マジで何なの?お前は俺のストーカーなの?」

「ブレねぇな肥やし系‥お前、みちるのストーカーなのかうちの末っ子のストーカーなのかはっきりしろよ」

「‥どっちも…!!…」

「なんでだよ‥ストーカーするならミーコだけにしとけよ…」
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