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第8章 【紫陽花色の雨】
『そんな‥じゃあ全部誤解だったの…?
どうして早く教えてくれなかったの…』

「ミーコ。葵は嫉妬狂いのちっちぇ男なんだよ。ダセェ」

「‥オレ、ちっちゃくない…!!」

「ドコ押さえてんだよ?!肝っ玉の話だろ?今の流れのどこに葵の下半身事情が出てきたよ?!」

「デカさと性欲の強さなら俺だって負けねぇぞ‥」

「爽兄イイ歳して脱ぐな!しまえよ!!
下半身事情は持ち込むな!‥もうミーコの部屋でふたりで話せよ。このままじゃ埒が明かない」

『葵‥いっしょに来てくれる‥?』

カーテンモンスターのべしょべしょ葵の手を引く。涙を拭って頭を撫でると、こくりと頷いた。

「本当にしょうがねぇヤツだなぁ‥貸しイチだぞ。おい肥やし。ちょい耳貸せ」

葵にしゃがませ、耳打ちする爽介。
葵の顔がみるみる内に真っ赤になる―

「孝介も肥やしに教えてやれよ。みちるのとっておきのヒミツ」

「えっ?!爽ちゃん気付いてたの?!ヤダよ‥僕のお楽しみなのに…」

「兄ちゃんに逆らう気か?俺に隠し事が出来ると思うなよ。
コソコソ姑息な真似しやがって‥。
“俺にも貸せ”っつたろーが。肥やしにくれてやれ。さっさとしねーか。血祭りにすんぞ」

「お兄ちゃんごめんなさい‥出来心でした…あぁ…僕のお楽しみが…」

ブツブツ呟きながら孝介も葵にないしょ話。
あれ‥?葵、すっごく怒ってる??

「‥みちるちゃん早く帰るよ…!!!」

今度は私が葵にぐいぐいと手を引かれる。
爽介がにやりと笑った。

「おい肥やし、テメェのケツはテメェで拭えよ?」

*****

『葵!葵待って‥痛い!!』

引き摺られるように帰宅。
真央の部屋を飛び出し、靴を脱ぐのも早々に葵は畳の上にうつぶせになって寝転がった。
困惑しながら私も横に座る。

「‥笑っていいよ‥マオの言う通り、オレ、すごくダサい。ブザマ…ソウスケに嫉妬した‥みちるちゃんとマオを会わせるのが怖かった……」

消え入るような葵の声。
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