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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
「‥デートでソウスケを見た時、あれ?って思った‥まさかと思って苗字を訊いたら“ヤスダ”だったし‥マオの兄弟だって知って‥マオはみちるちゃんのこと“憧れのお姉さん”みたいに思っているみたいだし‥おまけにみちるちゃんの初恋がソウスケだって言うから…」

葵の背中を擦る。背中がびくりと反応した。
背中には“失恋レストラン”の文字。

『うん‥そうなの‥確かにずっと好きだった』

「‥今も好き?…」

葵が振り返る。瞳が揺れていた。

『いや‥正直、よくわかんない。大切に想ってはいるけど。
昔みたいなトキメキはないかな‥』

「‥そう………」

うつぶせ体制に戻ろうとする葵の頭を捕まえて、膝の上に寝かせる。
葵は私の膝に顔を埋めた。

「‥10年以上‥好きだったんでしょ。そんなに長い年月じゃオレ、太刀打ち出来ない……」

『うん。爽介しか好きになれなかった―でも‥』

柔らかい葵の髪の毛に指を絡ませる。
懐かしい感触。もう二度と触れることは出来ないと諦めていた感触‥。

『ここ暫く、葵のことばっかり考えてた。
葵に会えなくて寂しかった。
葵がいなくて寂しかったよ‥』

「‥本当‥?…」

不安そうな表情で私の顔を仰ぎ見る葵。

『葵が私のそばから離れて行くのが辛かった。葵に彼女が出来たのかと思って苦しくてしょうがなかった。
嫉妬してたの私…。
苛立ちのせいで葵に酷いことも言った。ごめん』

張り詰めていた緊張の糸が緩む気配がした。
気がつけば頬が濡れていた。
葵の大きな手のひらが私の頬に触れる。

「‥みちるちゃんは、オレがいないと寂しいの?…」

『葵がいないと寂しい』

葵に抱き抱えられ、向かい合わせで座る。
心地よい体温‥。
頬を寄せ身体を密着させる。

「‥オレに“特別なひと”が出来ると嫌なの…?…」

『嫌だ。誰にも葵をあげたくない』

「‥みちるちゃんには、オレが必要‥?‥」

『私には葵が必要だよ。そばにいてくれないと嫌だ‥』

「良かったぁ…」

葵がふんわりと笑った。
―そしてすぐに笑顔が壊れる。
葵の眼差しが鋭くなった。

「‥ねぇ、その割にはオイタが過ぎるんじゃない‥?…」
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