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第9章 【ウィークエンドはあなたと】
「でもまぁ、女と違って男ならブッ飛ばせば済むから。女はそうはいかない。泣かれたりするともうサイアク。“こんなに好きなのに”って言われても、俺は全然好きじゃない。泣きたいのはコッチだよ。なんで自分が好きだからって相手に好きになってもらえると思うんだ?
まったくの別問題だろ。ソレとコレは」

『真央ちゃんが言うコトは正論だけど、理屈が通らないコトもあるんだよ‥ひとを好きになるって。時に理不尽で横暴』

「そうなの?俺、誰も好きになったコトがないからわかんねぇ。‥面倒くせぇんだな」

真央が小さなため息をついた。
アパートに到着し、鍵を開ける。

「なぁ‥ミーコの部屋で飯食うの?」

『あぁ、うん。キッチンの使い勝手もあるし。調理器具とかもあるから‥ダメ?』

「ダメじゃねぇけど‥」

視線を泳がせる真央。

『一旦部屋に荷物を置いておいでよ。片付けたら来なよ』

急に落ち着きがなくなった真央を部屋に送り出し、部屋着に着替え葵のふりふりエプロンを着ける。
15分くらい経った頃に真央がやって来た。
ハーフパンツに着替え、髪の毛をひとつに結んでいる。
私の姿を見るなり、何故か頬を赤らめる。

「エプロン…」

独り言を呟きながら、いつまでも玄関でもじもじしている。
挙動不審だけどいったいどうしたの‥?

「俺、女の部屋に入るの初めて‥」

ズッキューン!!
葵はね、私がいてもいなくても好きな時に押し入ってるよ。
健全な若い男の子の姿に胸を打たれる。

「ミーコの部屋に入って葵に殺されないかな‥俺。監視カメラとかない?大丈夫?」

『さすがにそれはないでしょー。真央ちゃんだし。大丈夫。』

「油断するなミーコ。葵はアレで後ろから撃つような男だぞ。
見た目通りの優男じゃない。敵と見なせば、うつぶせで降伏している相手すら撃ちかねない。それにこの前マニアックな電気屋で盗聴機を下調べしていた。既に仕掛けられているかも知んねぇぞ」

わ‥笑えない。
昇りつめるなぁ、ストーカー気質。
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