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第9章 【ウィークエンドはあなたと】
「俺、友達?」

『そう。年下の男友達』

私の言葉に真央が満足そうに笑った。

*****

食事を済ませ、真央の部屋に遊びに行った。
真央は葵と同じくらいの大食漢だった。
あんなに細い身体のドコにあれだけの食べ物が入るのだろう。
美味しそうに食事をするひとの姿を見るのは気持ちが良い。

アイスを食べながら、アルバムを見せてもらう。
据わった目付きの爽介、ふてくされた孝介、私に抱かれて眠っている真央。
私は爽介の横で頬を染めている。
小学生の3人。そして赤ん坊の真央。
遠き夏の日の一枚。

「なぁ、なんで孝兄じゃなくて爽兄だったんだ?」

スプーンをくわえながら真央が呟く。

『んー?なんでって‥わかんない。物心ついた時には爽介が好きだった』

「俺が言うのも何だけど、孝兄の方が一般的に見て好男子だよ。
顔はひとりだけ正統派の男前だろ?
背も俺らと違って高いし、性格も一見ソフトだし。性根が腐ってるけど。こどもの頃から孝兄はあんなだった。ある意味、女子の理想を具現化したような。
孝兄を好きになるコトは一度も無かった?」

『……無かった』

高校に入学するまで、孝介を含めて爽介以外の異性を好きになったことはない。

「んー‥だからか…」

真央が天井を仰ぐ。

『何が?』

「兄貴たちの間の愛憎劇の根底ってヤツ?
俺ら三人とも、仲良いよ。爽兄は可愛がってくれるし。兄貴同士も仲が良い。
だけどひとつだけ歪みがある。孝兄だよ」

『孝ちゃんが……?』

「爽兄の女を盗るんだ。特に気に入ってるような女をな。
それがバレても、爽兄は怒らない。
いざござがあっても普通に仲が良い。
アレは気持ちが悪い。
自分の女を弟に寝盗られて平然としていられるなんて異常だろ?
一度や二度じゃないぜ。もう、病気なんだ」

『う~ん……』

「たぶんその歪んだ関係の出発点はさ、ミーコだろ」

『え?!私が原因?!』

「だって孝兄もミーコが好きだったんだろ?
それなのにミーコは爽兄しか見えてなかったワケだろ?
孝兄はいじけるじゃん。ひねくれるじゃん。
で、捻れがそのまま昇華した‥と」

『そ‥そうかなぁ??』

声が裏返る私。
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