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第9章 【ウィークエンドはあなたと】
その声が真剣みを帯びていたのでびくりとする。

会わない間に爽介の髪型は変化していた。
サイドや後頭部が短く刈り上げられ、トップだけが長い。
アッシュがかったシルバーにオリーブグリーンのような色合いが重ねられた変わった髪色。
クールな髪色は醒めた目付きと相まって、なかなか似合っている。
サイドが短くなった分、拡張されたおびただしい数のピアスが晒されていた。
そのピアスのひとつひとつを触る。

「‥アオイはアレで食えない男だ。俺に協定を結ばせたぞ。
この俺にな。
お前が嫌がらないならお前を俺の好きにして構わないらしい。
それぞれが相手に教えてもいい情報は共有する。アイツが出した条件は【自分のテリトリーを侵さないコト】
たぶん、孝介にも同じ条件が提示された。
お前が誰かひとりを選んだら潔く手を引くコト。誰かひとりは俺たちに限定しないコト。どうだ?俺らに奪い合いされて女冥利に尽きるだろ?
マジで最大級に不名誉なコトだが、俺はお前に本気らしい。
俺と孝介とアオイ。
最強を決める無差別級のデスマッチだ。
さっさとくたばれよブサイク」

爽介の髪の毛に触れる。やっぱりパサついていた。

「‥似合う?」

『うん』

爽介が私を見つめたまま身体を半分浮かせたのでベッドと爽介の身体の隙間に入り込む。
爽介は吸い殻でいっぱいになった灰皿で煙草を揉み消し、私の裸の胸に唇を寄せた。

「‥今のところは俺とアオイの一騎討ちだな。俺らは相手が死ぬまで殺る。自慢じゃないが俺は喧嘩で負けたコトが無い。
自分のモノを取り上げられるのは我慢がならない」

『‥私はモノじゃない』

淀み無い爽介の言葉に抗議の声をあげる。
宥めるように乾いた爽介の手のひらが私の腰を撫で擦る。

「元々俺のだ。最初っから。自分の持ちモノを取り返して何が悪い。第一、お前は俺のコトが嫌いになれない。俺に抱かれるのも好きだろ?」
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