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Re:again
第9章 【ウィークエンドはあなたと】
*****
7/3(thu)8:00
目覚めてすぐに顔を洗い、小さな冷蔵庫の中を確認した。
見事にアルコールしか入っていない。
気に入っているのか、昨夜口にしていた瓶ビールがストックされていた。
ライムが2個無造作に転がっている。
ほとんど光が届かないはめ殺しの窓の前にジンやウイスキーの瓶が並んでいた。
爽介にも呑み潰れる夜があるのだろうか。
何かを忘れたくてお酒に溺れる夜があるのだろうか。
爽介は今までどうやって生きてきたのだろう。
怪我と、プレッシャーを独りで抱えて―
薄暗いキッチンでしばしの間、佇む。
朝食の材料調達のためにコンビニへ出掛けることにする。
ジーンズを穿き、クローゼットの中から爽介のTシャツを拝借した。
煙草の本数を数え、念のため銘柄を控える。
爽介はベッドで熟睡している。
シーツの色はいつの間にか白に変更されていた。
肌触りの良いタオルケットで逞しい褐色の肌を隠す。
空調の温度を確認し、眩しくないようにブラインドの光を調節した。
目蓋にかかった髪を払ってやり、無防備な寝顔の唇にキスを落とした。
その瞬間、この男のことを好きになるかも知れないという予感が胸をよぎった。
後悔した。
*****
手早く買い物を済ませ、エレベーターに乗り込む。
爽介の部屋の階でエレベーターの扉が開いた瞬間、息を切らした爽介が飛び込んで来た。
昨夜と同じジャージのままで、きっと中にシャツも着ていない。
寝癖が酷かった。
私の姿を見つけた途端、泣き出しそうな気の抜けたような顔になり、ビニール袋を見てサッと怒りの表情を浮かべた。
気が付けば爽介に痛いくらいに抱き締められていた。
咄嗟のことでビニール袋をエレベーターの床に落としてしまう。
卵が割れたかも知れないな、と思う。
表情に乏しい爽介がめまぐるしく表情を変えることは珍しい。
抱き締められながらただ、驚いていた。
頭上から地を這うように低い、不機嫌な声が降ってくる―
「…飯なんかどうでもいい。黙っていなくなるな」
今一度、この男のことを好きになるかも知れないと感じた。
呆然とした。
エレベーターから降り、爽介の気が済むまでそのまま腕の中にいた。
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7/3(thu)8:00
目覚めてすぐに顔を洗い、小さな冷蔵庫の中を確認した。
見事にアルコールしか入っていない。
気に入っているのか、昨夜口にしていた瓶ビールがストックされていた。
ライムが2個無造作に転がっている。
ほとんど光が届かないはめ殺しの窓の前にジンやウイスキーの瓶が並んでいた。
爽介にも呑み潰れる夜があるのだろうか。
何かを忘れたくてお酒に溺れる夜があるのだろうか。
爽介は今までどうやって生きてきたのだろう。
怪我と、プレッシャーを独りで抱えて―
薄暗いキッチンでしばしの間、佇む。
朝食の材料調達のためにコンビニへ出掛けることにする。
ジーンズを穿き、クローゼットの中から爽介のTシャツを拝借した。
煙草の本数を数え、念のため銘柄を控える。
爽介はベッドで熟睡している。
シーツの色はいつの間にか白に変更されていた。
肌触りの良いタオルケットで逞しい褐色の肌を隠す。
空調の温度を確認し、眩しくないようにブラインドの光を調節した。
目蓋にかかった髪を払ってやり、無防備な寝顔の唇にキスを落とした。
その瞬間、この男のことを好きになるかも知れないという予感が胸をよぎった。
後悔した。
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手早く買い物を済ませ、エレベーターに乗り込む。
爽介の部屋の階でエレベーターの扉が開いた瞬間、息を切らした爽介が飛び込んで来た。
昨夜と同じジャージのままで、きっと中にシャツも着ていない。
寝癖が酷かった。
私の姿を見つけた途端、泣き出しそうな気の抜けたような顔になり、ビニール袋を見てサッと怒りの表情を浮かべた。
気が付けば爽介に痛いくらいに抱き締められていた。
咄嗟のことでビニール袋をエレベーターの床に落としてしまう。
卵が割れたかも知れないな、と思う。
表情に乏しい爽介がめまぐるしく表情を変えることは珍しい。
抱き締められながらただ、驚いていた。
頭上から地を這うように低い、不機嫌な声が降ってくる―
「…飯なんかどうでもいい。黙っていなくなるな」
今一度、この男のことを好きになるかも知れないと感じた。
呆然とした。
エレベーターから降り、爽介の気が済むまでそのまま腕の中にいた。
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