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第9章 【ウィークエンドはあなたと】
「心配ならずっとココにいればいい。仕事も休め。辞めちまえ。
俺はお前を食わせるくらいの甲斐性ならある。ずーっと俺のそばにいろ!」

酔うと陽気になるタイプなのか‥?
爽介は痛むはずの脚をバタつかせ、瞳を輝かせている。

『ダメ。週末には葵と約束があるから』

陽気な酔っ払いが急に不機嫌になった。

「‥知ってる。連絡網で釘を刺されたからな。つまりは自分が留守の間はお前を貸してくれるが、週末には自分に返せってコトだよ。
何様だよ?
お前は俺のだ。アイツのモノじゃねぇ。自分のモノを手元に置いておくのに、何故他人の許可がいる?
気に入らねぇ‥」

強い力で押さえつけられ、乳房に無数の赤い痕を拵えられる。

『痛い!痛い!爽介!!』

「うるせぇよ。自分のモノに何しようが俺の勝手だ。
‥お前が一言、言葉にすれば済む。
俺のコトが好きだって言え。
死ぬまでずっと俺のそばにいると誓え。
みちる‥孝介も真央も好きになるな。
さっさと弱れよ。
また漬け込んでやる。粕漬けになる前に徹底的に俺の味に仕込んでやる。
‥アオイに堕ちるな。そう簡単に壷漬けなんかになるな」

*****

7/4(fri)12:40

余裕を持って帰宅したかったのに朝一番で爽介に襲われ、延々と欲望の相手をさせられ、もう少しで遅刻か無断欠勤になるところだった。
もう一度、今日中に病院に行くように爽介に念を押す。

「お前こそ孝介には気をつけろよ。アイツは平気で嘘をつく。
自分以外の他人が傷付くのを何とも思わねぇんだよ。
お前はのほほんとしているから心配だ‥」

何度も爽介に言い聞かされる。
会わない間、爽介がどのように生きてきたのか私は知らない。
孝介がどのような男に成長したのか私は知らない。
真央が口にした兄弟間の愛憎―
ふたりのことをよく知っていると思っていたのは私だけなのかも知れない。
私はふたりのことを何一つ知らないのかも知れない。

冷や水を浴びせられたような気持ちになった。

*****
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