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Re:again
第9章 【ウィークエンドはあなたと】
*****
7/5(sut)20:00
葵はまだ帰って来ない。
ひとりカラオケにも退屈してきた‥読みさしのエッセイ集も、うまく字の羅列が追えない。
お風呂に入ろうかなと思いつつも、葵を全力で出迎えたくてそのままでいる。
トマトの湯剥き、野菜やブタこま肉、ソーセージも切り終わり、下拵えは整った。
すっかり手持ちぶさた。
出汁にスーパーで買い求めた“トマトスープ鍋の元”を入れる。
味が薄かったので、固形スープストックと塩コショウ、用途不明なお洒落ハーブを足す。
ちょっと考えてから蜂蜜を一滴垂らす。
“味付けに困った時は蜂蜜を入れなさい”と葵がいつも言うから。
健康嗜好の葵は、白砂糖を使わない。
甘味はキビ砂糖やざらめ、三温糖。蜂蜜は葵の厳しいお目がねにかなったオレンジ蜂蜜とレンゲ蜂蜜。
蜂蜜って何て綺麗なんだろう‥隠し味に加えるつもりが、ついつい盗み食いになる。
誰もいないのにあたりをそっと伺い、胸を撫で下ろし“あおいのおかしばこ”からクラッカーを取り出す。
冷蔵庫からクリームチーズを出し、クラッカーの上にチーズ、ブルーベリージャム、蜂蜜を垂らして食べた。
すばらしい!
なんて美味しいんだ…。
全世界の心が荒んだひとびとに食べさせてやりたい。
蜂蜜を一舐めすれば戦争なんて無くなるんじゃないか?
ごはんの前の間食を葵はひどく嫌う。
チーズはレアチーズケーキの材料だし、盗み食いがバレたらきっと叱られてしまう。
証拠隠滅のために夢中でクラッカーとチーズを貪る私。
《今、駅を出ました。もうすぐ帰ります。あおい》
葵が帰って来る!
メールを見て、大慌てで食べ散らかしを片付ける私。
インターホンが鳴る。
葵だ!お母さんだ!
クラッカーと蜂蜜の瓶、スプーンを背中に隠し、施錠を外す。
「―誰が来たか確認しないでドアを開けちゃダメだよ。7匹のコヤギのお話を忘れちゃったの?みーちゃん」
7/5(sut)20:00
葵はまだ帰って来ない。
ひとりカラオケにも退屈してきた‥読みさしのエッセイ集も、うまく字の羅列が追えない。
お風呂に入ろうかなと思いつつも、葵を全力で出迎えたくてそのままでいる。
トマトの湯剥き、野菜やブタこま肉、ソーセージも切り終わり、下拵えは整った。
すっかり手持ちぶさた。
出汁にスーパーで買い求めた“トマトスープ鍋の元”を入れる。
味が薄かったので、固形スープストックと塩コショウ、用途不明なお洒落ハーブを足す。
ちょっと考えてから蜂蜜を一滴垂らす。
“味付けに困った時は蜂蜜を入れなさい”と葵がいつも言うから。
健康嗜好の葵は、白砂糖を使わない。
甘味はキビ砂糖やざらめ、三温糖。蜂蜜は葵の厳しいお目がねにかなったオレンジ蜂蜜とレンゲ蜂蜜。
蜂蜜って何て綺麗なんだろう‥隠し味に加えるつもりが、ついつい盗み食いになる。
誰もいないのにあたりをそっと伺い、胸を撫で下ろし“あおいのおかしばこ”からクラッカーを取り出す。
冷蔵庫からクリームチーズを出し、クラッカーの上にチーズ、ブルーベリージャム、蜂蜜を垂らして食べた。
すばらしい!
なんて美味しいんだ…。
全世界の心が荒んだひとびとに食べさせてやりたい。
蜂蜜を一舐めすれば戦争なんて無くなるんじゃないか?
ごはんの前の間食を葵はひどく嫌う。
チーズはレアチーズケーキの材料だし、盗み食いがバレたらきっと叱られてしまう。
証拠隠滅のために夢中でクラッカーとチーズを貪る私。
《今、駅を出ました。もうすぐ帰ります。あおい》
葵が帰って来る!
メールを見て、大慌てで食べ散らかしを片付ける私。
インターホンが鳴る。
葵だ!お母さんだ!
クラッカーと蜂蜜の瓶、スプーンを背中に隠し、施錠を外す。
「―誰が来たか確認しないでドアを開けちゃダメだよ。7匹のコヤギのお話を忘れちゃったの?みーちゃん」