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第9章 【ウィークエンドはあなたと】
『恋じゃない!!葵にわかるわけがない!!』

ついムキになる。
葵は淡い微笑みを浮かべ、しなやかな指先で私の両乳首を摘まんだ。
転がしながら乳首を唇に含む。
濡れた音がした。

「‥わかるよ。ソウスケの気持ちはね。同じ男だもの」

私が聞いたこともないような、低い声で呟く。

『葵は‥男じゃない!
肌も白いし、ピチピチだし‥女の子だよ!』

「‥この歳まで男のつもりで生きてきたけど?…」

『本当は女の子だったんだよ!』

ザバーッと盛大にお湯を滴らせ、おもむろに葵が仁王立ちになる。

「男だよ。教えてあげようか?」

妖しく笑みを浮かべ、私を見下ろしている。
思わず顔を背ける。
静かに浴槽に身体を沈める葵。またくつくつと嘲笑い出す。
葵は何事もなかったように私の身体を抱き寄せた。

「‥みちるちゃんたら、問題発言。女の子とセックスするつもりだったの?…」

憎たらしい!身体を反転させ、葵に背を向ける。
私の背中に葵が頬を寄せる。
葵の髪の毛が貼り付いてくすぐったい。

「‥あーあ。おっぱい星に還っちゃおうかな?‥みちるちゃんが寂しがっていると思って、着替えもせずに急いで飛行機に乗ったのに。お土産も買ってきたのに。
ソウスケのせいでご機嫌斜め…」

葵が私の背中に噛み付いた。

『‥怒んないの?』

「‥何を?ソウスケのコト?」

『うん』

「‥怒って欲しい?
怒ってどうにかなるもの?
みちるちゃんの心は、みちるちゃんのモノ。みちるちゃんがソウスケに会いたいなら会えばいいし、好きになっちゃったらそれはそれでしょうがない。
…本当は脅したり怒ったり泣き落とししたり軟禁して止めたいけど、無駄だって気付いたから…」

『‥無駄なの?』

「‥好きになっちゃったらどうしようもないでしょ。自分でも止められないし、他人なら尚更止められるはずがない。
みちるちゃんがソウスケに堕ちたらオレにも手の尽くしようがない。
心だけは誰にもどうすることが出来ない。‥それをよく知っているから」

腕を引かれ、再び葵と向かい合う。
何かを確認するように、葵が私の左胸を激しく揉みしだく。
その瞬間だけ、葵は真顔になった。
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