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Re:again
第10章 【微熱への処方箋】
時計は11時を回ろうとしていた。
物欲しそうな目付きの孝介も食事に誘い、ふたりでお鍋の中のお粥をすべてさらった。
美味しかった。
「食欲はあるみたいだね‥薬はどうする?」
フレーム無しの眼鏡を掛け、薬箱の中の風邪薬の症状の事項を読む孝介。
『孝ちゃん眼が悪いの?‥症状は微熱だけだからそっちを飲む』
喉の痛みやくしゃみ、鼻水などの症状はない。
昨夜は空調を下げていたし、身体が冷えただけかも知れないと思う。生理痛の時に服用する常備薬を飲んだ。
頭痛や、微熱にも効く漢方薬。
「運転の時と、細かい字を読む時にだけ。
資格の勉強をしたり模型を作ったりしてたらいつの間にか眼が悪くなっちゃったんだよね」
孝介が労りながら身体を倒してくれる。
「一級建築士の資格を取ろうと思っているんだけど中々難しい‥」
眼鏡を外し、孝介は眉間を押さえた。
先ほど読んでいた本も建築関連の専門書のようだった。
『お仕事しながら勉強するなんて偉いね。
おうちを継ぐって決まっているのに』
孝介が目を見開く。
「継ぐからこそ、だよ。僕が継いだら自分よりも年上のひとたちを動かしていかなきゃならない。
従業員の中には親父と同じ年齢のひとだっている。そういうひとたちに僕は上に立つ立場だってことを納得してもらわなきゃいけない。それには納得させるだけの材料が必要でしょ?
資格は取れるものはすべて取る。損は無いからね。所詮二代目だって馬鹿にされるのが癪だから」
口元を少しだけ歪めて、優しい声で囁く孝介。
お利口で頭脳派だった男の子。
大人になっても、面影は残しているものだと思った。
『やっぱり孝ちゃんは偉いねぇ。ちゃんと色々考えていて大人だね』
孝介が苦笑する。
「僕も27だよ?充分大人ですって。この歳でフラフラしてたら考えものだよ」
物欲しそうな目付きの孝介も食事に誘い、ふたりでお鍋の中のお粥をすべてさらった。
美味しかった。
「食欲はあるみたいだね‥薬はどうする?」
フレーム無しの眼鏡を掛け、薬箱の中の風邪薬の症状の事項を読む孝介。
『孝ちゃん眼が悪いの?‥症状は微熱だけだからそっちを飲む』
喉の痛みやくしゃみ、鼻水などの症状はない。
昨夜は空調を下げていたし、身体が冷えただけかも知れないと思う。生理痛の時に服用する常備薬を飲んだ。
頭痛や、微熱にも効く漢方薬。
「運転の時と、細かい字を読む時にだけ。
資格の勉強をしたり模型を作ったりしてたらいつの間にか眼が悪くなっちゃったんだよね」
孝介が労りながら身体を倒してくれる。
「一級建築士の資格を取ろうと思っているんだけど中々難しい‥」
眼鏡を外し、孝介は眉間を押さえた。
先ほど読んでいた本も建築関連の専門書のようだった。
『お仕事しながら勉強するなんて偉いね。
おうちを継ぐって決まっているのに』
孝介が目を見開く。
「継ぐからこそ、だよ。僕が継いだら自分よりも年上のひとたちを動かしていかなきゃならない。
従業員の中には親父と同じ年齢のひとだっている。そういうひとたちに僕は上に立つ立場だってことを納得してもらわなきゃいけない。それには納得させるだけの材料が必要でしょ?
資格は取れるものはすべて取る。損は無いからね。所詮二代目だって馬鹿にされるのが癪だから」
口元を少しだけ歪めて、優しい声で囁く孝介。
お利口で頭脳派だった男の子。
大人になっても、面影は残しているものだと思った。
『やっぱり孝ちゃんは偉いねぇ。ちゃんと色々考えていて大人だね』
孝介が苦笑する。
「僕も27だよ?充分大人ですって。この歳でフラフラしてたら考えものだよ」