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第10章 【微熱への処方箋】
『こ‥孝ちゃん‥私、体調悪いから…病人は労るものでしょう?』

「大丈夫!熱も下がったしなんの問題もない!!」

あるだろ?!

「う~ん。コレは違うかな‥」

鞭、縄、蝋燭をバッグに戻す孝介。
まずエアガン、ボーガン、ナイフをしまえよ!!
険しい顔をして絞るだけのホイップクリームを睨む孝介。
悩んだ挙げ句、結局バッグに戻さなかった。戻せよ!全部捨てろ!


「病人をいたぶってもツマラナイ!
僕ね、万全な状態のひとを精神的にも肉体的にも痛めつけるのが好きなんだ!!」

満面の笑顔を輝かせながら収納上手が囁いた。

*****

あっという間に馬乗りになり、タオルケットを剥ぎ、蜜蜂の着ぐるみを睨む孝介。

「蜜蜂‥コレはコレでアリか‥?」

孝介は静かに溶接用の眼鏡を装着し、テーブルの上に並べられた林檎、マスクメロン、八朔に次々とボーガンの矢を放つ。

『‥お見事!』

すべてに矢が刺さり、林檎やマスクメロンは一部が砕けた。
孝介が無表情のまま林檎の欠片をシャリシャリと食む。
あれ‥?それってお見舞い品じゃなかったっけ…?

興奮状態の収納上手は、“ふがし食えよ”“ふがししゃぶれよ”とオラオラオーラで私に迫る。
止めて!夏場のふがしは口がパッサパサになる!

「後でクリームつけて食べよう」

孝介は果物から矢を抜き、欠片といっしょにラップで包んで絞るホイップクリームと共に冷蔵庫で冷やした。

鮮やかな手付きで着ぐるみを剥がれる。上半身だけ脱がされた。
さすが幼子の頃から手癖が悪いだけあって、手慣れている。
脱がせ職人と呼んでやりたい。

「ノーブラは男のロマン!」

奇声を発しながら壁に向かってエアガンをブッ放す孝介。
止めて!撃たないで!
六畳一間の間取りでは、弾が跳ね返る。
孝介は跳ね返り弾をモロに浴び、

「痛みって‥突き抜けると快感だよね!」

わけのわからない持論を展開し、“僕を撃って”と私にボーガンを持たせる。
布団に寝た状態で、泣きながらボーガンを構える半裸の蜜蜂。
孝介も逆三角形の上半身をさらけ出し、高笑いしながら私に向かってエアガンを構える。
私、この頭がおかしい男に殺されてしまうのだろうか?
こんなんだったら爽介に24時間犯されまくる方がまだ良い。
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