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Re:again
第10章 【微熱への処方箋】
今日は一度も爽介の素顔を見ていない。
爽介はずっとここにいて私は爽介に抱かれているというのに、マスクに阻まれて爽介の表情が見えない。
その艶かしい声や逞しい身体だけでなく、いつもの憮然とした爽介の顔が見たかった。
絶頂の前に眉を寄せ、目蓋を閉じる爽介の表情が見たかった。
『見たい…』
マスクに手を伸ばす。爽介が私の手のひらに噛み付いた。
「ごめんなさいは?」
『………?』
「お前、二度と俺の顔が見たくねぇっつったよな。俺に死ねとまで言ったよな。詫びろよ」
速い律動で私を追い立てながら、昨日の発言を詰る爽介。
ひょっとして…
『‥爽介って…硝子の心臓…?』
爽介の腰の動きがまたぴたりと止まった。
孝介の笑い声が爆発する。
ことあるごとに寝込む爽介。
言われたことを根に持ち、私に素顔を見せない爽介。
‥なんてちっちゃくて馬鹿な男なんだろう。
『ぷッ…ふははは』
「笑うな!俺に赦しを乞えよ!“ごめんなさい、爽ちゃんの顔が好きです、二度と生意気な口はききません”って誓え!!」
腰の動きを止めたまま、私の身体をぐらんぐらんと爽介が揺さぶる。
本当に…この男は…。
『ごめんなさい。爽ちゃんの顔が好きです―』
自然と笑みが溢れていた。
爽介は一度固まり、マスクを畳に叩きつけた。
眼は血走り、顔中が汗にまみれている。
汗がつたい、私の顔に流れ落ちた。
爽介が笑みを浮かべていた。
私が好きな表情だ―子宮がキュンとした。
笑顔がすぐに切なげな表情に切り替わる。
今にも泣き出しそうな声で爽介は呟いた。
「みちる、もう1回呼んで。爽ちゃんって呼んで。俺のコトが好きだって言えよ。
…一番じゃないと意味がない。
俺、お前の一番じゃないと嫌なんだよ」
*****
爽介はずっとここにいて私は爽介に抱かれているというのに、マスクに阻まれて爽介の表情が見えない。
その艶かしい声や逞しい身体だけでなく、いつもの憮然とした爽介の顔が見たかった。
絶頂の前に眉を寄せ、目蓋を閉じる爽介の表情が見たかった。
『見たい…』
マスクに手を伸ばす。爽介が私の手のひらに噛み付いた。
「ごめんなさいは?」
『………?』
「お前、二度と俺の顔が見たくねぇっつったよな。俺に死ねとまで言ったよな。詫びろよ」
速い律動で私を追い立てながら、昨日の発言を詰る爽介。
ひょっとして…
『‥爽介って…硝子の心臓…?』
爽介の腰の動きがまたぴたりと止まった。
孝介の笑い声が爆発する。
ことあるごとに寝込む爽介。
言われたことを根に持ち、私に素顔を見せない爽介。
‥なんてちっちゃくて馬鹿な男なんだろう。
『ぷッ…ふははは』
「笑うな!俺に赦しを乞えよ!“ごめんなさい、爽ちゃんの顔が好きです、二度と生意気な口はききません”って誓え!!」
腰の動きを止めたまま、私の身体をぐらんぐらんと爽介が揺さぶる。
本当に…この男は…。
『ごめんなさい。爽ちゃんの顔が好きです―』
自然と笑みが溢れていた。
爽介は一度固まり、マスクを畳に叩きつけた。
眼は血走り、顔中が汗にまみれている。
汗がつたい、私の顔に流れ落ちた。
爽介が笑みを浮かべていた。
私が好きな表情だ―子宮がキュンとした。
笑顔がすぐに切なげな表情に切り替わる。
今にも泣き出しそうな声で爽介は呟いた。
「みちる、もう1回呼んで。爽ちゃんって呼んで。俺のコトが好きだって言えよ。
…一番じゃないと意味がない。
俺、お前の一番じゃないと嫌なんだよ」
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