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第10章 【微熱への処方箋】
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ふたりで手のひらをベタベタにしながらかき氷を食べた。
歩く内にかき氷はすっかり溶け、シロップ水をすすった。
駅前のゴミ箱でかき氷のカップを捨て、交代で手を洗った。
真央は何も訊かなかった。

来た時と同じように、いい加減な歌を唄って真央に正しい歌詞に直された。
真央の明るい声に励まされた。
真央と手を繋いだ。
真央の手のひらは少しだけ湿っていて、深爪だった。
関節が節張り、指が長かった。

『‥間違っているって気付いているの、本当は』

真央の切り揃えられた前髪を風が乱す。
今日はずっと、男の子にしか見えない。

「兄貴たちのコト?葵のコト?」

『どっちも。ううん、今の私の生活のすべて』

「なんで?別に誰にも迷惑掛けてないじゃん。ミーコは自分の食いぶちは稼いでいるし、あの3人は自ら面倒くさい関係を志願してんだろ?放っておけよ」

固い小石を踏んで足がぐらつく。
真央が引っ張り上げてくれる。
華奢だけれども、男性の腕だった。

『逃げてばかり。問題の先伸ばしばかり。
何一つ、満足な答えが出せない。答えを迫られると、また逃げる。そうやって生きてきた。たぶん、これからもそう』

「無理に答えを出したとしてさ、それが正解か間違っているかなんで誰にもわかんないじゃん。死んだ後しかわかんなくない?
それか、死んだ後ですらわかんない。
神様じゃねーんだから。俺は無神論者だけど。そこで何かの答えを出したとしても、生きている限りは何がしら問い続けられるわけだろ」

『真央ちゃんはさ、シャーマンみたいだね。私が何の話をしているのか説明しなくても、わかるんだね』

「わかんねーよ。俺はミーコじゃねぇんだから、わかるわけがない。自分の問題は自分でどうにかするしかない。だけど‥なんだかミーコが焦ってるみたいだから」

真央が励ますように繋いだ手に力を込めた。

「‥正しくなくても、俺はミーコを責めないよ。皆が皆、答えを出せるわけがない。
白黒はっきりつく問題ばかりじゃねーから。俺を見てみろよ。
男だけど女の格好して、女からも男からも逃げてる。矛盾してるし、いい加減なんだ。
だけど、コレが今のありのままの俺なんだよ」
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