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第12章 【乱・反・射】
謎の執事プレイは終了を告げたものの、今夜の爽介は尽くしたい気分らしい。
結局服を脱がないまま、私の世話をせっせと焼く爽介。
私の身体を優しく洗い上げ、浴槽に薔薇の香油を垂らす。
私の頭上へと薔薇の花びらを降らせる。

「俺は自分が恥ずかしい‥せっかく記念すべき夜なのに。
お前が喜ぶかと思ってココに連れて来たけど、そうでもなさそうだし」

薔薇の花びらをすべて千切り終えても、いっしょに入る気配もなく浴槽の外で憂うる爽介。

『そんなことないよ?あまりに立派なお部屋だったのと、爽介の豹変ぶりに驚いているだけだよ』

『‥おかしく思うかも知れないけど、俺的にはおかしくない。
今夜はたまたま、気持ちが発露しただけだ。
本当は、大切にしてやりたいって思ってる。お前のことを。いつもどんな時でも」

水面に薔薇のさざ波を起こし、爽介がため息をつく。
どこか幸福そうな、甘いため息だった。

『だけどお金持ちだったんならちゃんと教えて欲しかった。
心臓に悪いよ。私の部屋とか職場とか、呆れたんじゃない?』

実家が資産家であることは知っていたけれど、爽介自身が裕福な身分だとは考えたことも無かった。

「俺、言ったじゃん。お前を食わせるくらいの甲斐性はあるって。それにお前、俺の収入源訊かなかっただろ?」

確かに訊かなかったけどさ‥。

「例えばスニーカー、サングラス、服なんかも身につけているだけで金が入る。
ブランドは俺のスポンサーで、俺はブランドの広告塔なんだよ。
プロデュースしたり、コラボしているモノはまた金が発生する。
付き合いが増えると暇を持て余した金持ちなんかが寄ってくる。
物好きな奴はスポンサーになってくれたり、お布施替わりに株なんかを恵んでくれる。
金勘定は俺には向かないからプロに委託してるけど、それだけでも充分、食っていけるくらいの金はある」

『私には想像も付かない世界‥爽介がそんな世界の住人だったなんて‥』

私とは別の世界のひとじゃん。
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