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第13章 【さよならの向こう側】
「騒いでも仕方がないってわかっているんです‥葵は考えなしに行動する子じゃない。
こどもでもない。
そっとしておくのが一番だって」

早織ちゃんに出した麦茶の氷はすっかり溶け、グラスには水滴がついていた。
飲み物を取り替えた方がいいだろうか?
葵の行方を心の底から心配する彼女を前に、私はそんなことばかり気を揉んでいる。

『居場所に心当たりはないわ。
ここにも来ていません。もし訪ねてきたら、帰るように伝えるわ』

この部屋に葵はやって来ないだろうと考えながら、涙に暮れる早織ちゃんに告げる。
誕生日の前夜、この部屋の前に葵がいたであろうことは伝えなかった。
我が侭かも知れないけれど、それは葵と私だけの秘密にしていたかった。

『‥帰ってきたら、渡してあげて』

写真館で撮った葵の写真を早織ちゃんに託す。
喪服姿に気付いたのか、早織ちゃんが息を飲んだ。
ひとりで写った葵は、何かを暗示しているかのように表情が暗かった。

『‥‥待っててあげてね』

「みちるさんはそれで良いんですか?」

早織ちゃんが、挑むような眼差しを向ける。
返事に窮し、視線だけを返した。

「ごめんなさい‥私、矛盾したことばかり言ってますよね。
だけどなんだか‥この写真の葵、心が死んでしまったような表情をしているから」

私には何も答えられない。
答える資格もない。
早織ちゃんのように涙が出てくるわけでもない。
葵の行方は心配だけれども、為す術もなくぼんやりと日々を過ごしているだけ。

早織ちゃんの肩を抱いて優しく揺すった。
その行動に何の意味も無いけれど、他に慰め方を知らなかった。

「どうして、そんなに途方に暮れたように笑うんですか……。
みちるさんの瞳って、こどもみたい‥」

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